2014年 02月 28日
秘密保護法対策弁護団 設立趣意書 |
2014年1月24日
秘密保護法対策弁護団 設立趣意書
1 名称
「秘密保護法対策弁護団」とする。
2 弁護団の目的
第一に、特定秘密の保護に関する法律(以下、「秘密保護法」という。)が現実に施行され、検挙される人が出た時に、それから弁護の体制を取るのではなく、あらかじめ弁護団を作り、実際の事件になったときのための準備をし、弁護できる体制を作り、そのことで検挙の予防をする。そのために、研究会・勉強会を開催して理論武装をしていく。第二に、秘密保護法の問題点について学習した弁護士を数多く養成し、全国で講演や街頭宣伝などを進んで引き受ける。法的観点から問題点を明らかにし、発信することにより、秘密保護法廃止運動を市民と共に担う。
3 弁護団の理念
(1)秘密保護法は憲法及び国際人権規約に違反する
2013年12月6日、秘密保護法が成立した。この法律には根本的な欠陥がある。何が秘密に指定されるかが限定されず、政府の違法行為を秘密に指定してはならないことも明記されていない。公務員だけでなく、ジャーナリストや市民も、独立教唆・共謀・煽動の段階から処罰される。最高刑は懲役10年の厳罰である。政府の違法行為を暴いた内部告発者、ジャーナリスト、市民活動家を守る仕組みが含まれていない。政府から独立した「第三者機関」も存在しない。ツワネ原則(国家安全保障と情報への権利に関する国際原則)にことごとく反しているばかりでなく、ふたりの国連人権理事会の特別報告者とピレイ国連人権高等弁務官からも重大な懸念が表明された。
この法律は、部分的修正で対応できない根本的欠陥があり、憲法及び国際人権規約に違反する。
(2)臨時国会における法案審議の異常性
臨時国会における法案審議は、極めて異常なものだった。ジャーナリスト、弁護士会、研究者だけでなく、表現者、市民団体など、幅広い各界から、法案に対する深刻な懸念が表明された。慎重審議を求める世論は8割にも達していた。にもかかわらず、審議時間は、衆議院において約46時間、参議院ではその半分にも満たないわずか約22時間であった。
福島での公聴会では、意見陳述者7名全員が反対ないし慎重な意見であり、賛成意見はゼロであったにも拘わらず、その翌日には衆議院特別委員会で強行採決が行われた。12月5日の参議院特別委員会での強行採決は議事速報でも聴取不能とされ、採決の正当性にすら疑問がある。このような民主主義を破壊するような採決をする中で、石破自民党幹事長は、国会に集まった市民の反対の声をテロリズムと同一視した。
(3)情報公開を進めるために関連する制度全体の見直しが必要
私たちはこの秘密保護法の内容も立法手続も絶対に認めることはできない。秘密保護法は、政府の秘密を拡大し、情報を枯渇させることで民主主義を破壊し、市民の判断を誤らせ、むしろ国の安全保障を危機に陥れる可能性がある。このような法律は、いったん廃止した上で、情報公開制度、公文書管理制度、公益通報者保護制度を含めて、市民の知る権利を保障する方向に、全面的に作り変えるべきである。
(4)弾圧には事前の備えを
この弁護団の持つ機能は、ひとつは、秘密保護法の危険性を熟知した法律家集団として、法の施行過程を監視し、仮に法が施行され、その犠牲者が生まれた時に効果的な弁護を提供することにある。このような弁護体制を作ることにより、検挙を予防することもできる。
もうひとつは、秘密保護法は廃止すべきものであるという確信を市民の間に広げるために、法律家が市民と共に秘密保護法廃止運動を担うことである。
4 弁護団の構成
(1)代表
複数名の共同代表制とする。
(2)事務局
事務局をおくこととし、事務局長と複数名の事務局次長をおく。
(3)弁護団参加資格
この弁護団の理念に賛同する弁護士。
5 弁護団の活動
(1)研究会開催と問題提起
国会議事録、政府作成資料、第三者機関における検討状況、関係規則の制定などについて、情報を集め、研究会・勉強会を開催し、意見を述べていく。
この活動については、国際人権NGOや情報公開に関する市民運動などに関わる方々にも呼びかけ、連携して進めていく。
(2)秘密保護法に関する事件の弁護およびそのための検討会
秘密保護法違反事件に加え、廃止運動に対する弾圧事件や適性評価をめぐる不利益処分など秘密保護法に関する事件に対応する。証拠の開示や、秘密内容に触れた弁論の方法など、検挙された人が出た場合の弁護上の課題について、具体的に検討し、課題を明確にする。この検討会においては、各国の法制度や裁判例なども参考にする。
(3)外部への意見表明など
上記(1)(2)の研究成果を踏まえて、国会議員や関係行政庁、国際機関に対するロビーイング活動、およびメディアに対するブリーフィング活動を行う。
(4)講演レジュメや資料の共有化
秘密保護法に関する講演について、弁護士講師を養成するため、講演レジュメや資料などを共有化し、データベースを作る。
(5)連絡方法として、ML、ブログなどを立ち上げる。
6 財政
会費なし。弁護団員などからのカンパによる。
秘密保護法対策弁護団 設立趣意書
1 名称
「秘密保護法対策弁護団」とする。
2 弁護団の目的
第一に、特定秘密の保護に関する法律(以下、「秘密保護法」という。)が現実に施行され、検挙される人が出た時に、それから弁護の体制を取るのではなく、あらかじめ弁護団を作り、実際の事件になったときのための準備をし、弁護できる体制を作り、そのことで検挙の予防をする。そのために、研究会・勉強会を開催して理論武装をしていく。第二に、秘密保護法の問題点について学習した弁護士を数多く養成し、全国で講演や街頭宣伝などを進んで引き受ける。法的観点から問題点を明らかにし、発信することにより、秘密保護法廃止運動を市民と共に担う。
3 弁護団の理念
(1)秘密保護法は憲法及び国際人権規約に違反する
2013年12月6日、秘密保護法が成立した。この法律には根本的な欠陥がある。何が秘密に指定されるかが限定されず、政府の違法行為を秘密に指定してはならないことも明記されていない。公務員だけでなく、ジャーナリストや市民も、独立教唆・共謀・煽動の段階から処罰される。最高刑は懲役10年の厳罰である。政府の違法行為を暴いた内部告発者、ジャーナリスト、市民活動家を守る仕組みが含まれていない。政府から独立した「第三者機関」も存在しない。ツワネ原則(国家安全保障と情報への権利に関する国際原則)にことごとく反しているばかりでなく、ふたりの国連人権理事会の特別報告者とピレイ国連人権高等弁務官からも重大な懸念が表明された。
この法律は、部分的修正で対応できない根本的欠陥があり、憲法及び国際人権規約に違反する。
(2)臨時国会における法案審議の異常性
臨時国会における法案審議は、極めて異常なものだった。ジャーナリスト、弁護士会、研究者だけでなく、表現者、市民団体など、幅広い各界から、法案に対する深刻な懸念が表明された。慎重審議を求める世論は8割にも達していた。にもかかわらず、審議時間は、衆議院において約46時間、参議院ではその半分にも満たないわずか約22時間であった。
福島での公聴会では、意見陳述者7名全員が反対ないし慎重な意見であり、賛成意見はゼロであったにも拘わらず、その翌日には衆議院特別委員会で強行採決が行われた。12月5日の参議院特別委員会での強行採決は議事速報でも聴取不能とされ、採決の正当性にすら疑問がある。このような民主主義を破壊するような採決をする中で、石破自民党幹事長は、国会に集まった市民の反対の声をテロリズムと同一視した。
(3)情報公開を進めるために関連する制度全体の見直しが必要
私たちはこの秘密保護法の内容も立法手続も絶対に認めることはできない。秘密保護法は、政府の秘密を拡大し、情報を枯渇させることで民主主義を破壊し、市民の判断を誤らせ、むしろ国の安全保障を危機に陥れる可能性がある。このような法律は、いったん廃止した上で、情報公開制度、公文書管理制度、公益通報者保護制度を含めて、市民の知る権利を保障する方向に、全面的に作り変えるべきである。
(4)弾圧には事前の備えを
この弁護団の持つ機能は、ひとつは、秘密保護法の危険性を熟知した法律家集団として、法の施行過程を監視し、仮に法が施行され、その犠牲者が生まれた時に効果的な弁護を提供することにある。このような弁護体制を作ることにより、検挙を予防することもできる。
もうひとつは、秘密保護法は廃止すべきものであるという確信を市民の間に広げるために、法律家が市民と共に秘密保護法廃止運動を担うことである。
4 弁護団の構成
(1)代表
複数名の共同代表制とする。
(2)事務局
事務局をおくこととし、事務局長と複数名の事務局次長をおく。
(3)弁護団参加資格
この弁護団の理念に賛同する弁護士。
5 弁護団の活動
(1)研究会開催と問題提起
国会議事録、政府作成資料、第三者機関における検討状況、関係規則の制定などについて、情報を集め、研究会・勉強会を開催し、意見を述べていく。
この活動については、国際人権NGOや情報公開に関する市民運動などに関わる方々にも呼びかけ、連携して進めていく。
(2)秘密保護法に関する事件の弁護およびそのための検討会
秘密保護法違反事件に加え、廃止運動に対する弾圧事件や適性評価をめぐる不利益処分など秘密保護法に関する事件に対応する。証拠の開示や、秘密内容に触れた弁論の方法など、検挙された人が出た場合の弁護上の課題について、具体的に検討し、課題を明確にする。この検討会においては、各国の法制度や裁判例なども参考にする。
(3)外部への意見表明など
上記(1)(2)の研究成果を踏まえて、国会議員や関係行政庁、国際機関に対するロビーイング活動、およびメディアに対するブリーフィング活動を行う。
(4)講演レジュメや資料の共有化
秘密保護法に関する講演について、弁護士講師を養成するため、講演レジュメや資料などを共有化し、データベースを作る。
(5)連絡方法として、ML、ブログなどを立ち上げる。
6 財政
会費なし。弁護団員などからのカンパによる。
by himituho
| 2014-02-28 20:05
| 設立趣意