【声明】秘密保護法廃止法案の提出を歓迎する声明 |
秘密保護法廃止法案の提出を歓迎する声明
昨年12月6日に強行採決により成立した特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」といいます)につき、本日、社民党、共産党、無所属の山本太郎議員と糸数慶子議員が、参議院に秘密保護法の廃止法案を共同で提出しました。
秘密保護法は、特定秘密の範囲が広範かつ曖昧であり、秘密指定が恣意的になされうる上、重罰化と共謀・独立教唆の処罰規定によって内部告発や取材・報道に対して萎縮効果を与え、市民の知る権利が害されるおそれがあることや、適性評価制度によるプライバシー侵害と差別の問題など、民主主義社会において看過できない危険性を有するものです。また、情報保全諮問会議は半年間も議論が行われず、実質的には行政機関である事務方を中心に指定基準が決められようとしています。国会法改正により設置されようとしている情報監視審査会は、行政機関の判断次第で特定秘密の提出が受けられないこととなっており、十分な監視を期待することはできません。このような根本的に不備のある秘密保護法は、いったん廃止し、今一度、知る権利と国家機密のあり方に関する国民的議論を尽くすべきです。
私たち秘密保護法対策弁護団は、秘密保護法の廃止運動を市民とともに担うとともに、秘密保護法が施行された場合の犠牲者の弁護のために、本年3月12日に、有志の弁護士たちで結成されました。私たちは、憲法と国際人権基準に反する秘密保護法は廃止されるべきであると訴えるために、結成式の際には、村井敏邦教授と落合洋司弁護士による「秘密保護法の刑事法上の問題点」に関する記念講演会を行いました。さらに、本年5月上旬には、弁護団の国際部会メンバーが中心となり、「秘密保護法は国際的な基準であるツワネ原則にことごとく反している」と批判した米国政府元高官モートン・ハルペリン氏の招聘企画に協力し、本年5月下旬には、超党派国会議員団による海外調査報告書を踏まえ、秘密指定等に対する国会による監視のあり方について院内集会を行うなどして議論を喚起してきました。
今回、秘密保護法廃止の法案が国会に提出できたことは、人権擁護のための大きな前進であると考えます。この廃止法案が、より多くの国会議員の賛同を得て成立するよう強く希望し、そのために私たちも努力し続けるという決意をここに表明します。
2014年6月16日
秘密保護法対策弁護団
共同代表 海渡雄一
同 中谷雄二
同 南 典男