2014年 08月 04日
【パブコメ・テーマ別】脱原発に取り組む方々向けのパブコメ参考例 |
秘密保護法関連のパブコメについて、市民の方々から、「テーマ別に参考例を作ってほしい」という意見が寄せられたため、順次、テーマ別で掲載していきます。
※ 運用基準パブコメについて出すだけでも良いですが、一部、政令についても意見を述べているので内閣府令パブコメについても出すことは可能です。
1 パブリック・コメントに臨む私の基本的立場(統一運用基準Ⅰ1)
私は、脱原発の実現を求め、秘密保護法の廃止を求める市民である。このパブリック・コメントでは、法律をそのままにして、政令案や運用基準案についてだけ、意見を述べることを求めている。
しかし、特定秘密保護法は市民の知る権利を侵害する憲法21条、自由権規約19条違反の法律である。秘密保護法の制定前でも、政府はメルトダウンの情報、スピーディの情報、汚染水が海に漏えいしていることを市民から隠した。この秘密保護法の下では、原発の安全性や原発事故の被害の実情について市民が知るべき情報が特定秘密に指定されてしまうことは防げない。違憲な法律は、廃止するしかない。私は、政令や運用基準の制定そのものに反対だ。
2 ジャーナリストも市民も平等だ(統一運用基準Ⅰ2(1)ウ)
運用基準では、「出版又は報道の業務に従事する者と接触する際には、特定秘密保護法第22条1項及び第2項の規定を遵守し、報道又は取材の自由に十分に配慮すること」とあるが、なぜジャーナリストの報道又は取材の自由だけが特に留意され、その他の環境活動家や人権活動家等、公益活動を行う者の情報公開又は情報収集活動が保護されないのか。欧州人権裁判所の判例ではジャーナリストだけではなく、人権活動家等も同等の保護を受けるべきとされている。
第2 秘密の指定・解除
1 政府は自らの違法行為を秘密指定するな(統一運用基準Ⅱ1、同Ⅲ2(1)、同Ⅲ2(2))
本来は、法律の段階で、せめて政令の段階で、特定秘密の指定と解除、廃棄の各段階において、政府の違法行為や汚職腐敗、環境汚染の事実などを秘密指定してはならないことを要件としてきちんと書き込むべきだ。
2 法令違反の秘密指定禁止は法律政令事項にせよ(統一運用基準Ⅱ1(4))
特に遵守すべき事項として、「公益通報の対象事実その他の行政機関の法令違反の隠蔽を目的として、指定してはならないこと。」が決められた。これは、「公益通報の対象事実その他の行政機関の法令違反の事実を指定してはならないこと」を法律、せめて政令のレベルで明記するべきだ。
3 テロ活動別表該当性について(統一運用基準Ⅱ1(1))
原発に関する情報はテロ対策を理由に秘密とされる可能性がある。テロ活動別表該当性については、別表を多少詳細にしたように見えるが、無限定な規定が極めて多い。「重要施設、要人等に対する警戒警備」「サイバー攻撃の防止」「情報収集手段を用いて収集した情報」など、余りにも広範で、市民の知る権利を侵害する秘密が指定される可能性が高い。
第3 第三者機関
1 独立公文書管理監は同じ穴のムジナだ(統一運用基準Ⅴ3(1)ア、内閣府令)
独立公文書管理監について、内閣府令に設置根拠だけは作られたが、その構成メンバーの選任基準は全く明確にされていない。事前の報道では防衛省、外務省、警察庁の審議官レベルで構成するとされていた。これでは同じ穴のムジナだ。
2 独立公文書管理監の秘密指定行政機関からの出向人事の禁止を(統一運用基準Ⅴ3(1)イウ、内閣府令)
独立公文書管理監は秘密の指定、解除について、行政機関を管理監督するというが、独立性を確保するには、政令レベルせめて運用基準で、秘密指定行政機関に帰るような出向人事は否定しなければ、独立性は確保できない。
3 秘密開示の権限がない機関では意味がない(統一運用基準Ⅴ3(2)ウ、内閣府令)
独立公文書管理監が特定秘密の開示を求めても、行政機関は「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない」ときには、理由を疎明すれば開示を拒否できるとされている。特定秘密に対する完全な開示の権限を持たないような、第三者機関は意味がない。
第4 内部通報の実効性内部通報制度は内部告発の封じ込め手段になりかねない(統一運用基準Ⅴ4(2)ア(エ)、同Ⅴ4(2)イ(キ))
内部通報は公務員が秘密の指定などが秘密保護法等に従っていないと考えたときにできるとされた。しかし、秘密保護法自身が政府の違法行為等について秘密指定を禁止していない以上、公務員が秘密の指定などが秘密保護法等に従っていないと考えられるような場合はほとんど想定できず、公務員が違法秘密と考えた場合も、通報は取り上げられない可能性が高い。そうだとすると、内部通報・市民団体はマスコミなど外部に情報を出ないようにするための封じ込め手段になりかねない。
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脱原発に取り組む方々向けのパブコメ参考例
※ 運用基準パブコメについて出すだけでも良いですが、一部、政令についても意見を述べているので内閣府令パブコメについても出すことは可能です。
1 パブリック・コメントに臨む私の基本的立場(統一運用基準Ⅰ1)
私は、脱原発の実現を求め、秘密保護法の廃止を求める市民である。このパブリック・コメントでは、法律をそのままにして、政令案や運用基準案についてだけ、意見を述べることを求めている。
しかし、特定秘密保護法は市民の知る権利を侵害する憲法21条、自由権規約19条違反の法律である。秘密保護法の制定前でも、政府はメルトダウンの情報、スピーディの情報、汚染水が海に漏えいしていることを市民から隠した。この秘密保護法の下では、原発の安全性や原発事故の被害の実情について市民が知るべき情報が特定秘密に指定されてしまうことは防げない。違憲な法律は、廃止するしかない。私は、政令や運用基準の制定そのものに反対だ。
2 ジャーナリストも市民も平等だ(統一運用基準Ⅰ2(1)ウ)
運用基準では、「出版又は報道の業務に従事する者と接触する際には、特定秘密保護法第22条1項及び第2項の規定を遵守し、報道又は取材の自由に十分に配慮すること」とあるが、なぜジャーナリストの報道又は取材の自由だけが特に留意され、その他の環境活動家や人権活動家等、公益活動を行う者の情報公開又は情報収集活動が保護されないのか。欧州人権裁判所の判例ではジャーナリストだけではなく、人権活動家等も同等の保護を受けるべきとされている。
第2 秘密の指定・解除
1 政府は自らの違法行為を秘密指定するな(統一運用基準Ⅱ1、同Ⅲ2(1)、同Ⅲ2(2))
本来は、法律の段階で、せめて政令の段階で、特定秘密の指定と解除、廃棄の各段階において、政府の違法行為や汚職腐敗、環境汚染の事実などを秘密指定してはならないことを要件としてきちんと書き込むべきだ。
2 法令違反の秘密指定禁止は法律政令事項にせよ(統一運用基準Ⅱ1(4))
特に遵守すべき事項として、「公益通報の対象事実その他の行政機関の法令違反の隠蔽を目的として、指定してはならないこと。」が決められた。これは、「公益通報の対象事実その他の行政機関の法令違反の事実を指定してはならないこと」を法律、せめて政令のレベルで明記するべきだ。
3 テロ活動別表該当性について(統一運用基準Ⅱ1(1))
原発に関する情報はテロ対策を理由に秘密とされる可能性がある。テロ活動別表該当性については、別表を多少詳細にしたように見えるが、無限定な規定が極めて多い。「重要施設、要人等に対する警戒警備」「サイバー攻撃の防止」「情報収集手段を用いて収集した情報」など、余りにも広範で、市民の知る権利を侵害する秘密が指定される可能性が高い。
第3 第三者機関
1 独立公文書管理監は同じ穴のムジナだ(統一運用基準Ⅴ3(1)ア、内閣府令)
独立公文書管理監について、内閣府令に設置根拠だけは作られたが、その構成メンバーの選任基準は全く明確にされていない。事前の報道では防衛省、外務省、警察庁の審議官レベルで構成するとされていた。これでは同じ穴のムジナだ。
2 独立公文書管理監の秘密指定行政機関からの出向人事の禁止を(統一運用基準Ⅴ3(1)イウ、内閣府令)
独立公文書管理監は秘密の指定、解除について、行政機関を管理監督するというが、独立性を確保するには、政令レベルせめて運用基準で、秘密指定行政機関に帰るような出向人事は否定しなければ、独立性は確保できない。
3 秘密開示の権限がない機関では意味がない(統一運用基準Ⅴ3(2)ウ、内閣府令)
独立公文書管理監が特定秘密の開示を求めても、行政機関は「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない」ときには、理由を疎明すれば開示を拒否できるとされている。特定秘密に対する完全な開示の権限を持たないような、第三者機関は意味がない。
第4 内部通報の実効性内部通報制度は内部告発の封じ込め手段になりかねない(統一運用基準Ⅴ4(2)ア(エ)、同Ⅴ4(2)イ(キ))
内部通報は公務員が秘密の指定などが秘密保護法等に従っていないと考えたときにできるとされた。しかし、秘密保護法自身が政府の違法行為等について秘密指定を禁止していない以上、公務員が秘密の指定などが秘密保護法等に従っていないと考えられるような場合はほとんど想定できず、公務員が違法秘密と考えた場合も、通報は取り上げられない可能性が高い。そうだとすると、内部通報・市民団体はマスコミなど外部に情報を出ないようにするための封じ込め手段になりかねない。
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by himituho
| 2014-08-04 11:01
| 秘密保護法パブコメ