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2014年 07月 30日

【ニュース】秘密保全法に反対する愛知の会が声明

秘密保全法に反対する愛知の会が、2014/7/24に発覚した、岐阜県警による市民団体メンバーの監視ならびに中部電力子会社への情報漏えいに抗議し、2014/7/29に以下声明を発表したそうです。
http://nagoya.ombudsman.jp/himitsu/140729.pdf

岐阜県警による市民団体監視・漏えいに対して抗議声明発表



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by himituho | 2014-07-30 14:26 | お知らせ
2014年 07月 29日

【報告】国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか ~死刑・代用監獄・慰安婦・秘密保護法・ヘイトスピーチ・技能実習生・福島原発事故~

自由権規約の審査にもとづいて秘密保護法についても勧告が出されました。
報道をより深く理解できるように、この制度の仕組みから説いた文章をまとめました。
かなりの長文となっていますが、国際機関が日本の人権状況をどのように見ているかがよくわかります。

以下、弁護団メンバーの海渡雄一弁護士の報告です。

国連自由権規約委員会は日本政府に何を求めたか
=死刑・代用監獄・慰安婦・秘密保護法・
ヘイトスピーチ・技能実習生・福島原発事故=

海渡 雄一(弁護士・日弁連自由権規約WG座長)

第1 自由権規約委員会とは
1 本論考作成の目的
 自由権規約委員会の総括所見が7月24日に公開され、かなりのメディアが断片的ではあるが、総括所見の内容や自由権規約委員会の審査について報じている。しかし、報道は細切れであり、この総括所見がどのような仕組みの元で、どのような審査を経て出されたものか、それが、日本政府と我々日本に住む外国人を含めた市民にとってどのような意味があるのか、正確に理解することは難しい。
 私は、1993年の自由権規約委員会第3回審査の時から日弁連の担当委員会に所属している。実際に審査を傍聴し、ロビー活動を行ったのは、1998年第4回、2008年第3回に続いて3回目である。本論考では、これまでの経験を踏まえ、この制度の仕組みから審査の内容と委員会から発せられた総括所見のほとんどの条項を紹介し、その意味について考えてみたい。

2 刑務所改革と自由権規約委員会
 自由権規約委員会の勧告には法的拘束力がないなどという報道が今も続いているが、委員会の指摘に政府が応えた例として、刑務所改革を上げることが許されるであろう。私は監獄人権センターというNGOの代表を務めているが、長く監獄内の人権状況の改善に取り組んできた立場から、刑務所改革は国際人権基準を国内で実現する過程であったと考える。1998年の時には、死刑や代用監獄の問題も取り上げられたが、刑務所における極めて厳しい所内規則、革手錠による虐待、独居拘禁などの問題が取り上げられた。2002年に発覚した名古屋刑務所事件が、刑務所制度の改革につながったのは、問題点が予め自由権規約委員会から指摘されていたにもかかわらず、複数の拷問死亡事件の発生を未然に防ぐことができなかったことを国会などで指摘され、当時の森山法務大臣自らが改革を決意せざるを得なくなったからであった。
 行刑改革後も、国内の刑務所の人権問題が解決されたわけではない。適切な医療を速やかに受けることができないこと、今も数は減ってきているが独居拘禁の処遇の対象となっている者の数が2012年の段階で2000人を超えている。このように、改善の必要な点はいくつも指摘できる。しかし、今日本のすべての刑務所に弁護士や医師や地域住民、研究者などから構成される刑事施設視察委員会が活動している。この委員会は刑務所改革の最大の成果である。外部の目が入ることにより、虐待の危険性などは明らかに減少しているし、話し合いを通じて少しずつではあるが、施設内の処遇は改善されている。すべてとはいわないが、日本にも海外からの訪問客に是非見てもらいたいような進んだ社会復帰のための処遇を展開している施設もある。このような変化は、法務省矯正局が死刑確定者の処遇を除いて、自由権規約委員会の指摘を受け容れて改善に取り組んできたことの成果であると評価できるだろう。

3 国連の複合的な人権システム
 国連人権条約にもとづいて自由権規約委員会、社会権規約委員会、拷問禁止委員会、女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、人種差別撤廃委員会などの条約機関が条約ごとに作られている。これらの委員会は、国連の建物の中で開催されているが、厳密に言えば、国連の機関そのものではない。自由権規約委員会は、他の委員会との混同を避けるため、日本語ではこのように呼称されるが、条約機関の中では最も歴史が古く、またその英語名称がHuman Rights Committee(人権委員会)ということもあり、最も権威の高い条約機関である。委員は18名で、各国の最高裁の判事や国際法の研究者など高名な法律家が選ばれることが多い。日本からは岩澤雄司東京大学教授が委員に選出されている。
 条約機関以外の国連の人権関係の機関としては、2005年にあらたに作られた人権理事会が総会の直接の下部機関として活動している。条約機関は個人の資格で活動する専門家で構成される。これに対して、人権理事会は同僚審査であり、専門家でなく、各国代表が審査の対象となっている国に人権状況の改善を求める。しかし、この時の基準となるのも、自由権規約委員会をはじめとする国連条約機関が行っている勧告なのである。このように、条約機関の審査と人権理事会はこのように分かちがたく結びつけられている。
 人権理事会には課題別の特別報告者として、強制的失踪、略式処刑、拷問、宗教的不寛容、恣意的拘禁、児童、女性に対する暴力、司法の独立、表現の自由、健康などが取り上げられている。最近では、福島原発事故について積極的な現地調査を実施してくれた健康問題の特別報告者アナンダ・クローバー氏や秘密保護法について問題点を指摘してくれた表現の自由の特別報告者フランク・ラリュ氏らが著名である。自由権規約委員会の議長であるナイジェル・ロドリー卿は、長く拷問問題の特別報告者を務めた方である。

4 自由権規約委員会の第6回政府報告書審査
 2014年7月15日、16日の両日にわたって、自由権規約委員会による第6回日本政府報告書審査がジュネーブの国連欧州本部パレデナシオンで行われた。私は、日弁連代表団の団長として、他の弁護士とともにジュネーブで委員会へのロビー活動に当たった。この審査を受けて7月24日に総括所見が公表されたので、その概要と特徴を報告したい。本報告中意見にわたる部分は私の個人的見解であり、日弁連の見解を代表するものではないことをお断りしておく。

第2 審査の概観と国際人権保障に関する課題
1 これまでの課題と新たな課題
 今回の審査のためにほとんどの国内NGOがJapanNGONetworkIccpr2014を結成し、NGOブリーフィングを主催した。また、これらのNGOのほとんどが6月18日に日弁連が主催した政府との対話のための院内集会にも参加した。
 後に詳述する秘密保護法(23)やヘイトスピーチ(12)、福島事故の問題(24)以外にもムスリムの人々に対する警察による包括的な情報収集について、人種的プロファイルは許されず、権力濫用についての効果的な救済を求める新しい勧告がなされている(20)。
 委員会は、勧告5項において、1998年の第4回審査,2008年の第5回審査時の総括所見の多くが実施されていないことに懸念を表明し、過去の総括所見の実施を包括的に求めている。
 また、刑事司法と少数者の差別は委員会の活動の核であるが、詳細に取り上げる刑事司法、死刑制度以外にも、難民(19)、入管収容(19)、技能実習生制度(16  委員会は、この制度そのものの改変を強く勧告している)などの外国人に対する人権問題、ジェンダー(8,9)、アイヌ・琉球(26)などのエスニックマイノリティ、ジェンダーに基づく暴力とDV(10)、LGBT・性的マイノリティに対する差別(11)、慰安婦問題(14)についての政府の責任なども引き続き取り上げられた。精神病院における非自発的入院の問題(17)、アイヌ・琉球の少数民族問題(26)も大きく取り上げられた。

2 進まぬ国際人権保障システムの更新と克服の方向性 ―個人通報と国内人権機関―
 他方で、委員会が一貫して取り上げてきた、第1選択議定書の批准、条約の国内法的効力、国内人権機関の設立など国際人権保障システムについても、かなり詳細な質問がなされ、具体的な勧告がなされた。
 勧告6項は規約2条に基づいて、国内裁判所による条約上の権利の適用可能性について「締約国によって批准された条約が国内法的効果を持っていることを指摘しつつ、条約の下で守られるべき権利が裁判所では極めて限定されたケースでしか適用されていないことに注目する。」とし、「委員会は前回の勧告(CCPR / C / JPN / CO / 5、 para7)を再度引用し、締約国に条約の適用と解釈が、下級審も含めて、すべて弁護士、裁判官と検察官の職業訓練の一環となるよう、保証することを求める。 締約国は条約上の権利侵害の回復のために効果的な手段を保証するべきである。 締約国は個人通報制度を提供する選択議定書への加入を考慮すべきである。」と勧告した。
 裁判官の研修や法律家になるための司法研修所で国際人権法は取り上げられているが、系統的な研修がなされているとは評価できない。研修の充実が望まれる。
 続いて、勧告7項は、国内人権機関について、規約2条に基づいて「人権委員会法案の2012年11月の廃案以来、締約国が政府から独立した国内人権機関を創設するために何らの進展を見せていないのは遺憾である。」と最大級の失望感を表明した。そして、「委員会は前回勧告(CCPR / C / JPN / CO / 5、 para 9,)を想起し、締約国が幅広い権限をもち、適切な財政的ならびに人的資源を与えられ、パリ原則(総会決議48/134、附属書類)に適合する政府から独立した国内人権機関を設立することを再考するよう勧告する。」とした。
 民主党政権の下で、第1選択議定書の批准、国内人権機関の設立の二つの課題については、政府としての取り組みがなされ、かなりの程度まで具体化していた。第1選択議定書の批准とは、日本国内で発生した人権問題について国内における裁判などが終了した後に、個人が申立人になって自由権規約委員会などの条約機関に通報し、委員会の見解を得るための手続である。第1選択議定書の批准については、外務省と法務省間の協議が完了し、批准のための実務的な詰めの段階に入っていた。
 国内人権機関とは、人権保障を裁判だけで実現することは極めて困難であり、政府から独立した国内人権機関を設置するべきだという考え方が国連からも強く示されてきた。政府からの独立性について詳細に取り決めたものがパリ原則である。人事や権限、予算などのあらゆる面での政府からの独立性が求められている。
 この問題については、さまざまな問題を指摘できる法案ではあったが、法務省が人権委員会法案を閣議決定し、国会に提案した。したがって、安倍政権となってからこのような国際人権保障システムの更新に向けた動きが止まっていることについて、外務省や法務省などによって構成された政府代表団は政治的な経過を報告することができず、明解な説明をすることができなかった。政治的な状況をあからさまに説明することは困難だったからであろう。このようなわかりにくい説明が、さらに委員会のフラストレーションを高めたようにも見受けられた。
 このふたつの問題をどのように克服していくのか。第1選択議定書の批准は政権が決断さえすれば、実現できる。そんなに難しいことではない。世界中の115ヶ国が批准している。東欧や旧ソ連圏の国々はもちろん、日本の近隣国でもフィリピンは1989年に、韓国は1990年に、ロシアとモンゴル、ネパールは1991年に批准している。委員会に岩澤委員を派遣している日本が個人通報を認めていないことは、相当恥ずかしいことである。外交上の利害得失までを見通した政府の高いレベルでの判断が求められている。
 国内人権機関については、安倍政権の下ではなかなか困難があるだろう。自民党が2012年の衆院選挙時に、党として民主党政権の下で閣議決定された人権委員会設置法案に反対するという方針を決めているからである。しかし、政権として国際社会からの働きかけを無視し続けることは国際的な信用にもかかわる。とりわけ、この問題は、2008年、2012年の国連人権理事会の場でも、日本政府はパリ原則に基づく国内人権機関の設立を公約しているのである。国際的な政府としての公約と国内政治上の方針が矛盾をきたし、膠着状況にあるといえる。この問題をどのようにして打開していくかは、極めて困難な課題ではあるが、自民党の中にも国内人権機関の設立に賛同する議員も存在している。知恵を絞り解決策を見いだしていく必要がある。

3 日本政府の対応が評価された事項
 委員会が日本政府の対応を評価した点も存在する。
 委員会は、政府の説明を踏まえ、人身取引防止の行動計画(2009)、男女共同参画基本計画(2010)、公営住宅法の改正(2010)、婚外子差別規定を改めた国籍法の改正と民法の改正(2008,2013)、強制失踪条約の批准(2009)と障がい者の権利条約の批准(2014)については、前向きの要素として評価している(3,4)。実は、婚外子の差別解消については長年にわたる委員会からの勧告が続いていた。2013年9月4日の最高裁違憲判決は、過去の自由権規約委員会の総括所見について言及している。

第3 主要事項として取り上げられた代用監獄と死刑制度
1 袴田事件にふれた発言が3人の委員からなされた
 3月27日静岡地裁は袴田巌氏の再審開始を決定し、45年以上拘禁されていた袴田氏を死刑囚監房から釈放した。今回の委員会の審査の大きな特徴は、この袴田事件を題材に代用監獄、取調、死刑制度、死刑確定者の処遇などが大きなメインイシューになったことである。とりわけ3人の委員が袴田ケースに具体的に言及して発言した。
 南アフリカのマジョディナ委員は、代用監獄の問題について、委員会は1988年から勧告していることを指摘し、30年も問題が提起されているのに政府の対応はなぜ変わらないのかと迫った。そして袴田さんが代用監獄で長期間の取調の結果自白させられた時と現状はどう変わったのか。長期の取調による自白の強要がなされていることに変わりはない。日本政府は、拘置所を増やし、人権違反を防ぐべきではないかと述べた。
 アメリカのニューマン委員は死刑制度と死刑確定者の処遇について質問し、長期の独居拘禁によって精神の健康を害した袴田氏に言及した。死刑囚は長期に独房収容され、死刑執行は数時間前にしか知らされない。執行日時は家族にも知らされず、最後の別れも認められない。政府は「心の安寧を得るため。」というが、委員会はこの取扱は非人道的だと言ってきた。死刑判決を見直すために必ず再審査の機会を与えるべきではないか。裁判員制度の下で、全会一致でなくても死刑言い渡しが可能となっており、必ず再審査するべきではないか(裁判員制度の下では5対4の多数決で死刑判決が可能である)。心神喪失の者の処刑を避けるため、独立の審査システムがない等と指摘した。
 イスラエルのシャニイ委員は取調の問題を包括的に取り上げた。取調の録画が義務化されるのは、裁判員対象の3パーセントが対象になると言うNGOの見解は正しいのか。身体的な暴力や言葉で脅すようなことはあるのか。弁護士はなぜ取調に立ち会えないのか。自白に依存することの危険性は学術的な調査によって示されている。プレッシャーがあると25-30パーセントの被疑者が自白を強要されていると言う報告がなされている。袴田ケースでは再審が開始されたという。そのことは、高く評価されるが、そのような人が他にもいるのではないかと述べた。
 アルゼンチンのレスキア委員は、端的に日本政府に死刑を維持する理由について聞きたいと述べた。対象犯罪に19もの罪が上げられている。事前に処刑を知らせないことで死刑確定者の心の安静をはかるというが、それは国が決めるものではない。事前に通知を受けることで死刑確定者が、状況を把握できるようにするべきだと述べた。

2 代用監獄の廃止を明確に求めた勧告
 このような審査を受け、委員会は勧告18項では、規約7条、9条、10条、14条にもとづいて、代用監獄については、政府が「利用可能なリソースが不足していることと犯罪捜査のためにこのシステムが効率的であること理由に代用監獄の使用を正当化し続けていることを遺憾に思う。」「起訴前に、保釈の権利が欠如し、国選弁護を受ける権利が保障されていないことが、代用監獄における強制的な自白を引き出してしまうリスク強めていることに依然として懸念をもっている。」「取調べの実施に関して厳しい規則が存在しないことに懸念を表明し、2014年「改革プラン」(2014年7月9日法制審議会新時代の刑事司法特別部会「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果」のこと-翻訳者注)で提案されている取調べについてのビデオ録画が義務づけられた範囲が限られていることを遺憾に思う。」とし、「代替収容制度を廃止するか、さもなければ、規約9条と規約14条におけるすべての保障の完全な遵守を確実にすべきであり,それは特に次のことを保障することによって行うべきである。
(a)保釈などの勾留に代わる措置が、起訴前の勾留中にも十分に考慮されること。
(b)すべての被疑者が逮捕のときから弁護人の援助を受ける権利を保障され、弁護人が取調中に立ち会うこと。
(c)取調の継続時間及び方法に厳格な時間的制約を設定する立法措置,また、取調は完全にビデオ録画されるべきである。
(d)都道府県公安委員会から独立しており、迅速、公平かつ効果的に尋問中に行われた拷問や虐待の申し立てについて調査する権限を持つ不服審査メカニズム。」と勧告した。

 代用監獄を廃止するか、起訴前の保釈、取調への弁護人の立会、取調期間の制限と全過程の録画、警察から独立した不服申立のメカニズムの導入するためあらゆる手段をとるべきであることが勧告されている。
 委員会は、最近警察拘禁は48時間を限度とし、勾留決定後の拘禁施設は警察であってはならないことを内容とする規約9条の一般意見35の草案を作成し、公表し、意見を公募している 。今回の勧告は、国際社会は、法制審議会新時代の刑事司法特別部会で示されたような裁判員制度対象事件など一部の事件の取調の録画義務づけと国選弁護の範囲の拡大などを内容とする微温的な改革では、政府の対応として不十分であると考えていることを明らかに示している。

3 死刑制度の廃止を真剣に検討せよ
 また、死刑制度については、勧告13項で、規約2条、6条、7条、9条及び14条にもとづいて、死刑を最も重大な犯罪に限るとの規約の要請を充たしていない,死刑確定者がいまだに死刑執行まで最長で40年の期間,昼夜間独居に置かれていること,死刑確定者もその家族も死刑執行の日以前に事前の告知を与えられていないこと,死刑確定者とその弁護士との面会の秘密性が保証されていないこと,死刑執行に直面する人が“心神喪失状態”にあるか否かに関する精神面の検査が独立していないこと,再審請求あるいは恩赦の請求に死刑執行を停止する効果がないこと、袴田巌の事件における場合を含め,強制された自白の結果として様々な機会に死刑が科されてきたという報告に懸念を表明した。そして、死刑の廃止を十分に考慮すること,死刑を科しうる犯罪の数を死の結果を含む最も重大な犯罪に減少させること、死刑確定者とその家族に執行の日を予め合理的な余裕をもって告知すること,原則として昼夜独居処遇を科さないこと,弁護側にすべての検察側資料への全面的なアクセスを保証し,拷問あるいは虐待により得られた自白が証拠として用いられることがないよう確保すること、死刑確定者の精神面の健康に関する独立した審査のメカニズムを確立すること、死刑の廃止を目指し,規約の第二選択議定書への加入を考慮するべきであるとする勧告を行った。
 日本政府の死刑制度死守のための頑なな対応に対する委員会の不信といらだちは高まっている。このように具体的な勧告に対して、一歩でも二歩でも、日本政府とりわけ法務省刑事局の前向きの対応が切望される。

第4 表現自由と知る権利の危機に警鐘
1 人権制約には厳しい条件を
 委員会は勧告22項において、公共の福祉を理由とする基本的人権の制限に言及し、「「公共の福祉」の概念はあいまいであり、無制限であるということ、そして、規約(2条、18条及び19条)の下で許容されるものを大きく超える制約を許容するかもしれないということへの懸念を改めて表明」し、「以前の最終所見(CCPR/C/JPN/CO/5, para.10)を想起し、第18、19条の第3段落における厳しい条件を満たさない限り、思想、良心、宗教の自由や表現の自由の権利に対するいかなる制約をも押し付けることを差し控えるように締約国に要求する。」とした。
 このような見解は、これまで委員会が公職選挙法上の公務員の政治活動の制限や戸別訪問の禁止などが表現の自由に対する過度の制限となっていることを指摘していたことなどが背景となっている。また、委員会が19条だけでなく、18条にも言及した背景には、いくつかの市民グループが、学校における日の丸の掲揚、君が代斉唱に抵抗した教員に対する懲戒処分が、思想、良心、宗教の自由を侵害するものと指摘したことについても、考慮されたものと評価できるであろう。

2 秘密保護法は情報へのアクセスの権利を定めた規約19条を満たしていない
 秘密保護法については、日本のNGOは19団体のジョイントレポートを提出した。日弁連、アムネスティもこの問題を取り上げ、ツワネ原則を起草したオープンソサエティ・ジャスティスイニシアティブも、秘密保護法の内容を検討した詳細なレポートを提出した。このような動きを受けて、 審査の第二日目にドイツのフォー委員が表現の自由について質問する中で、秘密保護法について詳細に取り上げた。
 日本政府はかなり準備していたようで、法全体の英訳を委員会に提供し、一部の答弁は英語で、今回の立法は欧米なみのものである、恣意的な運用はされない、報道目的の情報取得は処罰されないなどと流ちょうに回答した。
 しかし、委員会は、勧告23項において、規約19条にもとづいて、「近年国会で採決された特定秘密保護法が、秘密指定の対象となる情報について曖昧かつ広汎に規定されている点、指定について抽象的要件しか規定されていない点、およびジャーナリストや人権活動家の活動に対し萎縮効果をもたらしかねない重い刑罰が規定されている点について懸念する」として、「日本政府は、特定秘密保護法とその運用が、自由権規約19条に定められる厳格な基準と合致することを確保するため、必要なあらゆる措置を取るべきである。」とし、「(a)特定秘密に指定されうる情報のカテゴリーが狭く定義されていること、また、情報を収集し、受取り、発信する権利に対する制約が、適法かつ必要最小限度であって、国家安全保障に対する明確かつ特定された脅威を予防するための必要性を備えたものであること。(b)何人も、国家安全保障を害することのない真の公益に関する情報を拡散させたことによって罰せられないこと。」が具体的に勧告された。
 秘密指定には厳格な定義が必要であること、制約が必要最小限度のものでなければならないこと、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰からの除外されるべきことが求められた。勧告が公表されたのと同じ7月24日から秘密保護法の政令案と運用基準についてのパブコメが始まっているが、下位法令や運用基準レベルでの小手先の対応ではなく、法そのものの廃止を含めて抜本的な見直しがなされなければ国際社会の日本政府に対する言論弾圧の疑念は払拭できないであろう。

第4 ジェンダーと性暴力、性的マイノリティについて
1 ジェンダー平等について
 委員会は、勧告8項において、規約2条、3条、23条、及び26条にもとづいて「女性に離婚後6か月間の再婚を禁止し、男性と女性とで異なる婚姻最低年齢を設けている民法の差別的条項の修正を、婚姻制度や家族の基本的考え方に影響を及ぼしかねないことを理由に、締約国が継続して拒絶していること」に懸念を表明し、「家庭内及び社会における女性と男性の役割に関するステレオタイプが法の下の平等への女性の権利を侵害していることを正当化するために利用されないよう,保障すべきである。それゆえ,締約国は,これに従って民法の改正のための緊急の行動をとるべきである。」と勧告した。
 また、委員会は、勧告9項において、規約2条、3条、及び26条にもとづいて「第三次男女共同参画基本計画の採択を歓迎する一方、政治的分野での女性の参画が乏しいという点を考慮して、上記計画の効果が限定的であることを懸念する。委員会は、意思決定の地位への、部落の女性を含むマイノリティ女性の参画についての情報が不足していること遺憾に思う。女性がパートタイムの仕事の70%を占め、同等の仕事をする男性が受け取る給与の58%しか稼げていないとの報告を懸念する。委員会は、また、セクシュアル・ハラスメント及び妊娠・出産による女性の解雇に対する罰則措置が欠如していること」に懸念を表明し、「第三次男女共同参画基本計画の進捗を効果的に監視及び評価をし,たとえば政党における成文でのクォータ制等,暫定的特別措置を採ることを含めて,公的分野での女性の参画を増加されるための迅速な行動をとるべきである。締約国は,部落の女性を含む,マイノリティの女性の政治的参加を評価し支援するための具体的な措置を採り,女性をフルタイムの労働者として採用することを促進し,男女の賃金格差を縮める努力を倍速させるべきである。また,締約国は,セクシュアル・ハラスメントを処罰し,妊娠・出産による不公正な取扱いを禁止し,適切なペナルティを伴う制裁をするよう,必要な立法的措置を講ずるべきである。」と勧告した。

2 ジェンダーに基づく暴力及びドメスティック・バイオレンス
 委員会は、勧告10項において、規約3条、6条、7条、及び26条にもとづいて「前回の総括所見にも関わらず、締約国が、刑法での強姦の定義の範囲の拡大、性交同意年齢を13歳を超える年齢と設定すること、及び強姦罪や他の性犯罪を非親告罪とすることについて全く進展がないことについて遺憾に思う。また、委員会は、ドメスティック・バイオレンスが依然として蔓延しており、保護命令発令までの手続きに時間がかかりすぎ、及び、処罰された加害者の人数が非常に少ないという懸念を表明する。さらに、委員会は、同性カップル及び移住女性に不充分にしか保護が提供されていないという報告」に懸念を表明し、「前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5, paras 14 and 15)に従って,締約国は,第三次男女共同参画基本計画に記載されている通り,強姦やその他の性犯罪を告訴なしで起訴でき,遅滞なく性交同意年齢を引き上げ,性犯罪の構成要件を見直すための具体的な行動をとるべきである。締約国は、同性カップル間でのものも含めて、すべてのドメスティック・バイオレンスについての報告について、徹底的に捜査がなされ、加害者が訴追され、有罪になった場合には適正な制裁で処罰されることを確実にする努力を強化すべきである。また、締約国は、緊急保護命令を与えられることによって、及び、性暴力の被害者である移住女性が在留資格を喪失させないこと等によって、暴力の被害者がふさわしい保護を利用することができるよう、保障すべきである。」と勧告した。

3 性的マイノリティ
 委員会は、勧告11項において、規約2条・26条にもとづいて、「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルおよびトランスジェンダー(LGBT)の人々に対する社会的ハラスメントとスティグマの付与の報告について、また自治体が運営する住宅制度から同性カップルを実質的に排除している差別的規定について、懸念を表明し」、「すべての事由(性的指向およびジェンダーアイデンティティを含む)による差別を禁止する包括的な反差別法を採択するべきであり、また差別の被害者に対して効果的・適切な救済を提供するべきである。締約国は、LGBTの人々に対するステレオタイプや偏見と闘うための意識啓発活動を強化し、LGBTの人々に対するハラスメントの申立てを調査し、その防止のために適切な措置をとるべきである。また、自治体レベルで公的に運営されている住宅サービスとの関連で同性カップルに適用されている資格基準について、残されている制限も取り除くべきである。」と勧告した。

4 慰安婦問題をめぐって
 今回の委員会では、慰安婦問題は、これまでの審査以上に大きく取り上げられた。まず、マジョディナ委員が慰安婦問題を取り上げた。河野談話の検証についても質問がなされた。これに対する政府の回答は、これまでの経緯をふまえ、日本政府としては強制連行の事実は確認できないが、当時植民地統治下にあり、「甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して」なされたと述べた。そして、今後も河野談話を継承すると述べたが、アジア女性基金を超える慰藉措置は示されず、慰安婦を「性奴隷」と呼ぶことは相応しくないと繰り返し述べた。マジョディナ委員は再度性奴隷制という発言は1926年の奴隷廃止条約の定義に基づくと発言したのに対し、政府代表はさらに、「奴隷制度の定義について、条約上の検討をした上で、この制度は性奴隷制の問題ではない。その定義に当てはまるものとは理解していない。性奴隷制度は不適切な表現である」と強く反論した。
 今回のセッションには、慰安婦は強制連行されておらず、売春婦だったと主張している日米の団体の人たち約10人が参加していた。セッションでも慰安婦が性奴隷ではないとした政府代表発言に一斉に拍手したり、慰安婦問題について発言したマジョディナ委員をセッションの終了後に取り囲んで糾弾するという事件が起きた。これに対して、ロドリー議長は本稿末尾にも紹介したように、総括発言の中で代用監獄とともに慰安婦問題を「変わらない日本」を象徴する問題として取り上げた。そして、このような行為(慰安婦を性奴隷ではないとする発言に拍手する)ことは、許されない行為であると言明した。
 このような緊迫したやりとりを背景に委員会は、勧告14項で、規約2条、7条、8条にもとづいて「委員会は、戦時中の「慰安婦」は日本軍によって「強制的に連行」されたのではないとしつつ、慰安所の女性たちの「募集、移送、管理」は、多くの場合、軍や軍のために動いた組織によって、強圧や脅迫など一般的に意思に反して行われたとの、締約国の矛盾する立場に懸念を表明する。委員会は、被害者の意思に反して行われたどのような行動も、締約国の直接的な法的責任を伴う人権侵害だと捉えるに十分であると考える。」としている。
 そして、「戦時中、「慰安婦」に対して日本軍が行った性奴隷あるいはその他の人権侵害に対するすべての申し立ては、効果的かつ独立、公平に捜査され、加害者は訴追され、有罪であるとわかれば処罰すること。」「司法へのアクセスおよび被害者とその家族への完全な被害回復措置」「利用可能なすべての証拠の公開」「教科書への十分な記述を含む、学生と一般の人々へのこの問題に関する教育」「公式な謝罪を表明することおよび締約国の責任の公的認知」「被害者を侮辱あるいは事件を否定するすべての企みへの非難」のためあらゆる措置をとるべきことが勧告された。

第5 外国人の人権と人種差別をめぐる課題
1 ヘイトスピーチの処罰を法制化せよ
 ヘイトスピーチについて、イスラエルのシャニイ委員が取り上げた。「韓国人を殺せ」などと叫ぶデモが全国で350件も報告され、広範に起きていることが委員会の場でも確認された。
 政府の答弁は特定の人や集団への名誉毀損や脅迫にあたる場合に民事責任と刑事責任を問いうる、一般的なヘイトスピーチに関しては、啓発活動に取り組んでいるという答弁に終始した。このやりとりを通じて、日本に包括的な差別禁止法制がなく、ヘイトスピーチを禁止できていないことの問題点が明確になった。
 二日目のフォローアップ質問において、シャニイ委員は表現の自由の保障は重要であるとしつつ、規約20条がバイオレンスの防止のため、人種差別の煽動をするようなヘイトスピーチは抑制しなければならないことを定めていると指摘し、民事法的な措置だけに委ねると民事提訴ができない場合もあり、国が抑制することが望ましいと述べた。
 人種差別撤廃委員会の前記の見解は、法律により処罰されうる流布や扇動の条件として、委員会は以下の文脈的要素が考慮されるべきであると考えるとして、スピーチの内容と形態、経済的、社会的および政治的風潮(委員会は、ジェノサイドに関する指標において、人種主義的ヘイトスピーチの意味および潜在的効果を評価する際に地域性が関連することを強調した)、発言者の立場または地位、スピーチの範囲、スピーチの目的を考慮すべきだとしている。
 また、締約国は、扇動罪の重要な要素として上記の考慮事項に加えて、発言者の意図、そして発言者により望まれまたは意図された行為がそのスピーチにより生じる差し迫った危険または蓋然性を考慮に入れるべきであるとされている。
 日本の状況は、放置すれば、人種差別的暴力への歯止めが利かなくなる一歩手前まで来ている。委員会は、勧告12項において、規約2条、19条、20条、27条にもとづいて「朝鮮・韓国人、中国人および部落民などのマイノリティグループの構成員への憎悪および差別を扇動している広範囲に及ぶ人種主義的言説と、これら行為に対する刑法および民法上の保護の不十分さに懸念を表明する。委員会はまた、頻繁に行われている許可を受けた極端論者のデモ、外国人の生徒・学生を含むマイノリティに対する嫌がらせと暴力、並びに民間の施設や建物での“ジャパニーズ・オンリー(日本人以外お断り)”などの看板・貼り紙の公けの表示について懸念を表明」し、「締約国は、差別、敵意あるいは暴力の扇動となる人種的優越あるいは憎悪を唱える宣伝のすべてを禁止し、そのような宣伝を広めるためのデモを禁止するべきである。締約国はまた、人種主義に対する意識高揚活動のために十分な資源を割り当て、裁判官、検事および警察官が、ヘイトクライムや人種主義的動機による犯罪を見つける力をつける訓練を確実に受けるよう取り組みを強化するべきである。締約国はまた、人種主義者の攻撃を防止し、加害者とされる者が徹底的に捜査され、起訴され、有罪判決を受けた場合は適切な制裁をもって処罰されることを保証するためにすべての必要な措置をとるべきである。」と勧告した。
 これは、明確にヘイトスピーチそのものの刑事的規制を求めた勧告である。表現の自由を保障しつつ、ヘイトスピーチに効果的な規制を行うことは難しい作業である。実は、日弁連もヘイトスピーチに対して、これを強く非難する意見を表明しているが、刑事法的規制が必要であるという意見をまとめるに至っていない。しかし、日本の現状は戦争とジェノサイドの危険が切迫しているものと認識しなければならない。政府も、われわれNGOも、この難問に取り組むべき時機が来ているのではないだろうか。

2 人身取引と技能実習制度について
 委員会は、勧告15,16項の二つの項目で、人身取引に言及した。
 まず、15項では、規約8条にもとづいて「委員会は、締約国の人身取引への取り組みを評価しつつ、人身取引がなかなか根絶されないこと、また、加害者に懲役刑が科される件数が少ないこと、強制労働が処罰される事案がないこと、被害者認定が減少していること、および被害者に提供される支援が不十分であることを懸念する。」として、日本政府は、下記の行動をすべきであるとして、「特に強制労働の被害者について、被害者認定手続きを強化し、労働基準監督官を含むすべての法執行者に対して専門訓練を提供すべきである。」「加害者を精力的に捜査及び訴追すべきであり、有罪になった場合には、人身取引行為の深刻さに見合う刑罰を科すべきである。」「通訳サービス及び損害賠償のための法的支援を含む、現行の被害者保護の措置を強化すべきである。」としている。
 
また、技能実習制度について、16項では、規約2条、8条に基づいて「外国人技能実習生に対する労働法制の保護を拡充した制度改正にもかかわらず、同制度の下で性的搾取、労働に関係する死亡、強制労働に達しうる状況に関する報告が多く存在することに、委員会は懸念とともに指摘する。」とし、「現在の制度を低賃金労働者の雇用よりも能力開発に焦点を置く新しい制度に代えることを真剣に検討すべきである(strongly consider)。他方で締約国は、事業場への立ち入り調査の回数を増やし、独立した苦情申し立て機能を設置し、労働搾取の人身売買その他労働法違反事案を効果的に調査し、起訴し、制裁を科すべきである。」とした。
 勧告の根拠とされている規約8条は奴隷制と強制労働を禁止している条項である。最低賃金以下で働き、多くの実習生が健康を害し、自殺や過労死を引きおこしている状況を国際社会はこのような深刻な問題と捉えている。政府は実習生制度を、人権侵害も生じないよう配慮し不適切な団体も排除しつつむしろ拡大するとしている。このような政策は抜本的に見直さなければならない。この項目も一年内のフォローアップ事項に選ばれた。自由権委員会の厳しい視線に応えなければならない。

3 難民・入管収容など
 勧告19項では、規約2条,7条,9条,13条にもとづいて「委員会は、2010年に一人の死を生じさせた退去強制手続き中の虐待ケースについて懸念を表明する。委員会は、また出入国管理難民認定法の改正にもかかわらず、ノンルフールマンの原則が実務において十分に実施されていない点について懸念を表明する。委員会は、難民についての否定的な決定に対する停止の効果を伴った独立した異議手続の制度の欠如と正当な理由もなくかつ収容決定に対する独立した再審査もないまま行政収容が長期化されていることにさらなる懸念を表明する。」としたうえで、「退去強制の過程において移民が虐待にさらされないようにするためのあらゆる適切な措置を講じること」「国際的な保護を求めている全ての人が、公正な決定手続きへのアクセスと危険が待ち受けている地域へ送還されないよう保護を受けられること、また否定的な決定に対し執行停止の効果を伴った独立した異議手続きへのアクセス持つことを保障すること」「収容が最短の適切な期間となりかつ行政収容に対する既存の代替措置が十分に考慮された場合にのみ行われることを確保する手段を取ること、そして移民が自らの収容についての合法性について審査する裁判所に対し訴えを提起できることを保障する手続きを取ること」が勧告された。

4 ムスリムに対する監視について
 今回の審査では、ムスリムに対する監視の問題が、ムスリム弁護団によって新たに提起された。委員会は、勧告20項において、規約2条、17条、26条にもとづいて、「警察職員によるムスリムに対する広範な監視活動が報告されていること」に、懸念を表明し、「警察職員に対し、異文化の理解、及び、警察職員によるムスリムへの広範な監視活動を含む人種的プロファイリングが許容されないことについて、トレーニングを実施すべきである。」「権力が濫用された場合には、影響を受けた人々に対する効果的な救済手段へのアクセスを確保すべきである。」と勧告した。
 この事件は、公安警察による市民に対する監視活動の氷山の一角が警察情報の漏えいというかたちで明らかになった事件であるが、このような情報の漏えいは、秘密保護法の下ではテロ対策を理由に、厳しく秘匿されることとなるだろう。国内でも、この問題は国家賠償訴訟が提起されているが、裁判所は漏えいについては責任を認めたが、包括的な情報収集そのものの違法性を認めていない。今回の勧告は、包括的な情報収集そのものが規約と両立しないことを指摘したもので、画期的な勧告と評価できる。

第6 マイノリティの人権とその保護
1 精神病院における非自発的入院について
 委員会は、勧告17項において、規約7条と9条にもとづいて「非常に多くの精神障害者が非常に長期間、そして自らの権利侵害に異議申し立てする有効な法的な救済手段なしに非自発的入院を強いられていること、また代替サービスの欠如により入院が不要に長期化していると報告されていること」に懸念を表明した。そして、「精神障害者に対して地域に基盤のある代替のサービスを増やすこと」「強制入院は、最後の手段としてのみ必要最小限の期間、本人の受ける害から本人を守りあるいは他害を避けることを目的として必要で均衡が取れる時にのみ行われることを確保すること」「精神科の施設に対して、虐待を有効に捜査し罰し、被害者またはその家族に賠償を提供することを目的として、有効で独立した監視と報告体制を確保すること」が勧告された。精神障害者に対して社会内における治療と処遇を原則とする考え方が世界中に広まっている。

2 子どもに対する体罰
 委員会の質疑においても、日本の学校や家庭において、体罰が広範に用いられており、また世論調査などでも体罰を容認する考えが存在していることが指摘された。委員会は、勧告25項において、規約7条、24条にもとづいて、「体罰が学校では禁止されているものの、これが広がり、社会的にも受け容れられていると認められる」として、「適切な場合は立法手段を通じて、あらゆる場面で体罰をやめさせるため実務的な措置をとるべきである。体罰に代わる非暴力的な懲戒手段を導入することが望まれる。そして、体罰のもたらす心身を傷つける効果について、情報を提供するパブリックキャンペーンを実施するべきである。」と勧告した。

3 先住民
 委員会は勧告26項において、規約27条に基づいて「アイヌ民族を先住民族として認めたことを歓迎する一方で、委員会は、琉球・沖縄の認識の欠如並びにこれら集団の伝統的土地と資源の権利あるいはその子どもたちが独自の言語で教育を受ける権利の認識の欠如に関する懸念を繰り返す。」とし、「締約国は、法律を改正して、アイヌおよび琉球・沖縄のコミュニティの伝統的土地と自然資源への権利を全面的に保障するようさらなる措置をとり、これら人びとに影響を及ぼす政策およびその子どもたちが独自の言語で教育をうけることを可能な範囲で促進する政策に、自由に事前にそして情報を得た上で参加できる権利の尊重を保証するべきである。」とした。

4 福島原発事故被害者
 スイスのケリン委員が、福島原発後の状況に懸念があるとして、特別報告者(アナンダ・グローバー氏)のレポートを取り上げ、国際基準(年間1ミリシーベルト)の20倍の線量地域に帰還政策がとられていること、帰還した者に月次の補償がなされるのか、避難している人々にどの程度の情報が提供されているのかなどの質問がなされた。委員会は、勧告24項では、規約6条、12条、19条にもとづいて、「福島に許容する公衆の被ばく限度が高いこと、数か所の避難区域が解除され、人々が放射能で高度に汚染された地域に帰還するしか選択肢がない状況に置かれていること」に懸念が表明された。そして、「福島原発事故の影響を受けた人々の生命を保護するために必要なすべての措置を講ずるべきであり、放射線のレベルが住民にリスクをもたらさないといえる場合でない限り、避難区域の指定を解除すべきでない。」「放射線量のレベルをモニタリングし、こうした情報を時機にかなった方法で、原発事故の影響を受けている人々に提供すべきである。」と勧告した。
 
委員会は、福島原発事故の被害者が置かれた状況が生命の権利を保障した規約6条、規約12条、市民の知る権利を保障した規約19条が十分保障されていない事態であると見なしているのである。
 2012年に子ども被災者支援法が制定され、低レベル放射線被曝の健康影響が明らかでないという認識に立って、滞在と避難、帰還の選択肢を等しく支援することが法定されたにもかかわらず、政府は明らかに帰還優先の政策を強行してきた。このような政府の方針が生命・健康に対する権利と知る権利の侵害として断罪されたのである。政府は直ちに帰還促進政策を見直さなければならない。

第7 審査を踏まえた政府と私たちの課題
1 かみしめるべきロドリー議長の最終発言
 ナイジェルロドリー議長は会議の結びの言葉の中で、触れるべき二つの問題があるとして、日本政府が何度も同じプロセスを繰り返しているという点を指摘した。
 代用監獄制度に関して、政府はリソースの不足を制度を改めない理由として述べたが、議長は、「人権の尊重がリソース次第という状況は日本のような先進国ではあってはならないことであると指摘した。こういう制度が維持されている理由は、起訴側が自白を求めたいと考えているためであるとしか考えられない。このような状況は明らかに規約に矛盾している。日本政府は、委員会がこれまでよりも強い形で勧告を出しても驚かれることはないでしょう。日本政府は明らかに国際コミュニティに抵抗しているようにみえます。」と述べた。繰り返されているもう一つの重要問題として慰安婦の問題が指摘された。議長は、「意見の対立があるようであるが私には理解ができない。私の頭が悪いのだろうか。「強制連行されたのではない。」といいつつ、「意図に反した」という認識が示されている。これは、理解しにくい。性奴隷である疑念があるなら、日本政府はなぜこの問題を国際的な審査によって明確化しないのか。」と厳しく指摘した。

2 次の政府報告書提出期限は2018 年7 月31 日
 委員会は、勧告27項において、締約国の第6 回定期報告書と委員会の総括所見、そして委員会のリストオブイシューズに対して政府が行った書面回答などが、一般市民に対し、また、司法、立法、行政当局に対しても公表され、かつ、広く普及されるよう求めた。
 また、委員会は、勧告29項において、日本の第6 回定期報告書の提出日を、2018 年7 月31 日と定め、この勧告に対してとった措置を、市民社会との共同作業を経て提出するように求めた。

3 フォローアップ条項に選ばれた死刑,慰安婦,技能実習生,代用監獄
 委員会は、28項で、1年以内のフォローアップ事項として、死刑(13),慰安婦(14),技能実習生(16),代用監獄(18)の4テーマを取り上げ、委員会手続規則71 パラグラフ5 に従い、この4つの勧告について、1 年以内にフォローアップ情報を提供するよう求めた。これら4つの項目は、委員会がとりわけ重視している関心のあらわれである。とりわけ政府の集中した誠実な対応が求められる。

4 政府との建設的な対話を深め、困難な状況でも前進を目指そう
 今回の勧告は、これまでの5回の審査に基づく勧告と比べて、極めて厳しいトーンと内容のものとなった。その原因は明確である。世界中の国々が、人権の完全実施のために前向きの努力を続けている中で、日本では、人権とさらには民主主義そのものを危機に陥れるようなできごとが続いている。いわば、改善の方向が見えないだけでなく、むしろ後退している印象を与えたのだと推察する。
 とはいえ、私たち日本のNGOは政府と協力して、この勧告を一つずつ実現していく責務がある。私が歩みを止めず、大きな流れの中で捉えれば、これらの勧告はいずれ実現できる。しかし、民主主義的な法制度を傷つけたり、日本政府が戦争に突き進むようなことになれば、その回復には長い時間がかかるかもしれない。
 そのような破局的な事態を避けるためにも、この勧告の中の秘密保護法を含む表現の自由とヘイトスピーチを含む人種差別禁止などの勧告を重く受け止め、この勧告を速やかに実現する必要があるだろう。
 総括所見を日本国内にひろげ、政府と真剣に対話し、日本を包む人権と民主主義の危機を克服していくための梃子として活用したいと思う。



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by himituho | 2014-07-29 15:39 | 報告
2014年 07月 28日

【お知らせ】秘密保護法の問題点(パブコメの参考)

秘密保護法に関して、以下の3つのパブコメが募集されています。

「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見募集の実施について(特定秘密保護法関連)

「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見募集の実施について

「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」に対する意見募集の実施について


そこで、運用基準案等の問題点を書き出してみました。
みなさんがパブコメを出される際の参考にして下さい。

以下の主張うち、賛同できるものを選択し、ご自身のパブコメの作成にお役立てください。

第1 総論 

2014726日、自由権規約委員会より日本政府に対して以下のような勧告意見が出された。

23.委員会は、近年国会で採決された特定秘密保護法が、秘密指定の対象となる情報について曖昧かつ広汎に規定されている点、指定について抽象的要件しか規定されていない点、およびジャーナリストや人権活動家の活動に対し萎縮効果をもたらしかねない重い刑罰が規定されている点について憂慮する(自由権規約19条)。

日本政府は、特定秘密保護法とその運用が、自由権規約19条に定められる厳格な基準と合致することを確保するため、必要なあらゆる措置を取るべきである。とりわけ下記事項は保障されなければならない。

(a)特定秘密に指定されうる情報のカテゴリーが狭く定義されていること、また、情報を収集し、受取り、発信する権利に対する制約が、適法かつ必要最小限度であって、国家安全保障に対する明確かつ特定された脅威を予防するための必要性を備えたものであること。

(b)何人も、国家安全保障を害することのない真の公益に関する情報を拡散させたことによって罰せられないこと。」

この勧告にしたがって、日本政府はただちに特定秘密保護法を抜本的に見直すべきである。


○特定秘密保護法は国民の知る権利を侵害する憲法21条、自由権規約19条違反の法律だ。違憲な法律は、廃止するしかない。特定秘密保護法をそのままにして、運用基準のレベルでさまざまな監視機関を作ったり、内部通報制度を作っても、有効に機能するわけがない。


〇特定秘密保護法は、既存の国家公務員法や自衛隊法、日米安全保障条約に関連する秘密保全法制度、情報公開制度、公文書管理制度、公益通報者保護制度を含めて、自由権規約19条によって保障される表現の自由・知る権利と国際的に承認されたツワネ原則などに基づいて、より情報公開が図られ、市民の知る権利を保障する方向で、以下の諸点を含む全面的な制度の見直しを行うべきである。

秘密指定の立証責任は国にあることを法律に明記する。

何を秘密としてはならないかを法律において明確にする。

秘密指定について60年よりも短い期限を法律で定める。

市民が、秘密解除を請求するための手続を法律に明確に定めること。

刑事裁判において、公開法廷で秘密の内容を議論できることを法律において保障すること。

すべての情報にアクセスし、秘密指定を解除できる政府から独立した監視機関を法律に基づいて設置すること。

内部告発者が刑事処罰から解放されることを法律上明確に保障すること。

ジャーナリストと市民活動家を処罰してはならず、情報源の開示を求めてはならないことを法律に明確に定めること。


○運用基準では、「出版又は報道の業務に従事する者と接触する際には、特定秘密保護法第22条1項及び第2項の規定を遵守し、報道又は取材の自由に十分に配慮すること」とあるが、なぜジャーナリストの報道又は取材の自由だけが特に留意され、その他の環境活動家や人権活動家等、公益活動を行う者の情報公開又は情報収集活動が保護されないのか。欧州人権裁判所の判例(2005215SteelおよびMorris対イギリス事件。通称「マック名誉毀損事件」)によれば、ジャーナリストだけではなく、人権活動家等も同等の保護を受けるべきとされている。


〇特定秘密保護法により起訴された刑事事件の裁判手続において、証拠開示決定がなされた場合には秘密指定を解除しなければならないとされているが(逐条解説57頁)、証拠開示決定に至らなかった場合には、刑事弁護人に対しても特定秘密は開示されないのか。逐条解説57頁によると、「かかる検察官による裁判所への提示のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがない」と記述されており、「検察官」「裁判所」は明記されているのに対して、「弁護人」が明記されていない。裁判所がインカメラ手続を経た上で証拠開示決定を行わなければ、「弁護人」に対してのみ公訴事実となっている特定秘密が提供されないことになり、実質的武器対等の原則に反し、被告人の防御権に対する不当な制約となり許されない。


第2 秘密の指定・解除

○本来は、法律の段階で、せめて政令の段階で、特定秘密の指定と解除、廃棄の各段階において、政府の違法行為や汚職腐敗、環境汚染の事実などを秘密指定してはならないことをきちんと書き込むべきだ。そして、このような事項を違法に秘密指定したり、これを黙認した公務員に対して懲戒責任を問えるようにするべきだ。


○特に遵守すべき事項として、「公益通報の対象事実その他の行政機関の法令違反の隠蔽を目的として、指定してはならないこと。」が決められた。これは、「公益通報の対象事実その他の行政機関の法令違反の事実を指定してはならないこと」を法律、せめて政令のレベルで明記するべきだ。


○防衛秘密指定の別表該当性については、別表を多少詳細にしたように見えるが、無限定な規定が極めて多い。「情報手段を用いて収集した情報」(別表第1号ロa)「国内外の諸情勢に関する見積もり」(ニa)、防衛力の整備や能力の見積もり、計画、研究(ニbc)など、余りにも広範である。


○外交秘密指定の別表該当性については、別表を多少詳細にしたように見えるが、無限定な規定が極めて多い。「各国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針」、「ハaからcまでに掲げる事項に関する情報の収集若しくは分析の対象、計画、方法、情報源、実施状況又は能力」など、余りにも広範である。


○テロ活動別表該当性については、別表を多少詳細にしたように見えるが、無限定な規定が極めて多い。「重要施設、要人等に対する警戒警備」「サイバー攻撃の防止」「情報収集手段を用いて収集した情報」など、余りにも広範である。


○特定有害活動(スパイ活動)別表該当性については、別表を多少詳細にしたように見えるが、無限定な規定が極めて多い。「重要施設、要人等に対する警戒警備」「サイバー攻撃の防止」「情報収集手段を用いて収集した情報」など、余りにも広範である。


〇外交秘密指定・テロ活動・特定有害活動の別表該当性については、「外国の政府等との協力の方針又は内容のうち、当該外国の政府等において特定秘密保護法の規定により行政機関が特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置が講じられるもの」として、外国政府等の措置の有無という、当該外国によっては当事者にとって極めて調査が困難な事由を秘密指定の基準としており、予見可能性がなく妥当ではない。


第3 適性評価

○ 医療機関に対して個人の医療情報の照会を行うことは、医師に対して守秘義務違反の情報提供を強要することとなる。


〇適合事業者の従業者についての適性評価は、「契約後当該事業者が特定秘密の取扱いの業務を行うことが見込まれることとなった後に実施する」とされており、まだ契約締結が不確かな「見込まれる」という状況であっても、契約を締結するために適性評価に進んで応じざるを得ない状況を作り出している。


〇運用基準では、面接などで「疑問点、矛盾点その他の事実を明らかにすべき事項がないかどうかを確認することを基本とし、これにより疑問点が解消されない場合等に、公務所等への照会を行うものとする。ただし、調査を適切に実施するために必要があるときは、これらの手続の順序を入れ替えて実施することを妨げない」として、「調査を適切に実施するために必要があるとき」という極めて不明確な要件で、要件充足の判断手続も明らかでないまま、評価対象者の極めて個人的な情報について公務所又は公私の団体に対して調査を行うことが可能とされ、原則と例外が逆になってしまうおそれがある。


第4 第三者機関

○独立公文書管理監について、内閣府令に設置根拠だけは作られたが、その構成メンバーの選任基準は全く明確にされていない。事前の報道では防衛省、外務省、警察庁の審議官レベルで構成するとされていた。これでは同じ穴のムジナだ。


○独立公文書管理監は秘密の指定、解除について、行政機関を管理監督するというが、独立性を確保するには、政令レベルせめて運用基準で、秘密指定行政機関に帰るような出向人事は否定しなければ、独立性は確保できない。


○独立公文書管理監が特定秘密の開示を求めても、行政機関は「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない」ときには、開示を拒否できるとされている。特定秘密に対する完全な開示の権限を持たないような、第三者機関は意味がない。


○知る権利と安全保障に関する国際基準であるツワネ原則は、すべての情報に対するアクセスを認められた、独立第三者機関が必要であるとしている。独立公文書管理監はこのような機関に該当しない。


第5 内部通報の実効性

○内部通報窓口を19機関と独立公文書管理監に設置したとされるが、法律や政令中に、政府の法令違反について秘密指定をしてはならないという規定がない以上、公務員が、その秘密指定が秘密保護法に違反していると確信できるなどという場合はほとんどあり得ず、公益通報の実効性は全くない。


○内部通報は公務員が秘密の指定などが秘密保護法等に従っていないと考えたときにできるとされた。しかし、秘密保護法自身が政府の違法行為等について秘密指定を禁止していない以上、公務員が秘密の指定などが秘密保護法等に従っていないと考えられるような場合はほとんど想定できない。



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by himituho | 2014-07-28 13:29 | 秘密保護法パブコメ
2014年 07月 25日

【ニュース】国連自由権規約委員会が勧告、秘密保護法に懸念表明

国連の自由権規約委員会が、日本に対して勧告を出しました。

勧告の23項では、秘密保護法に対する懸念が表明されており、対策が要求されています。


原文はこちらからダウンロードできます。

http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CCPR/C/JPN/CO/6&Lang=en



以下、勧告23項の原文と仮訳になります。


Act on the Protection of Specially Designated Secrets

23.The Committee is concerned that the recently adopted Act on the Protection of Specially Designated Secrets contains a vague and broad definition of the matters that can be classified as secret, general preconditions for classification and sets high criminal penalties that could generate a chilling effect on the activities of journalists and human rights defenders (art. 19).

The State party should take all necessary measures to ensure that the Act on the Protection of Specially Designated Secrets and its application conforms to the strict requirements of article 19 of the Covenant, inter alia by guaranteeing that:

(a)The categories of information that could be classified are narrowly defined and any restriction on the right to seek, receive and impart information complies with the principles of legality, proportionality and necessity to prevent a specific and identifiable threat to national security;

(b)No individual is punished for disseminating information of legitimate public interest that does not harm national security.


特定秘密保護法

23)委員会は最近採択された特定秘密保護法が、秘密に特定できる事項に関する定義が広くて曖昧であること、秘密指定に関して抽象的な要件を含んでいること、そしてジャーナリストや人権活動家の活動に深刻な影響を及ぼしうる重い刑罰を課していることに懸念を表する(自由権規約19条)。

締約国(である日本)は、特定秘密保護法とその適用が、自由権規約19条に定められる厳格な基準を確実に満たすように、必要なすべての措置を取るべきである。とりわけ下記事項は保障されなければならない。


(a)(秘密に)指定される情報のカテゴリーが狭く定義されていること、また、情報を収集し、受取り、発信する権利に対する制約が、適法かつ必要最小限度であって、国家安全保障に対する明確かつ特定された脅威を予防するための必要性を備えたものであること。


(b)何人も、国家の安全保障を害しない正当な公益に資する情報を流布したことで、刑罰を受けないこと。



以下、この勧告のもととなった委員の質問を、藤田早苗さん(英エセックス大学人権センター講師)が書き起こして下さったものを掲載します。

自由権規約委員会 2014716

セイベル・フォー委員による秘密保護法に関する質問

「意見、表現の自由に関して、どの程度それらに制約が可能か、ということについて。規約によってこれらの権利の制約はーーー非常に狭いものであるべきだ、と考えられている。しかしながら、日本の範囲というのは広くなっている。公共の福祉ということでひろくなっている。意見と表現の自由は規約で誓約した範囲を超えないことを確保するために、どういうステップをとっておられるのかうかがいたい。これは理論的な質問に聞こえるかもしれないが、そうではない。こういう広い公共の福祉という言及と、法律の中に広範な制約が有されている、そして司法審査が非常に限られているという点が懸念の対象である。もっと具体的にいうなら、最近の例をあげてみたい。それは去年リストオブイシューズを採択した後に出た問題である。質問に関する問題で、かなりの懸念を生んでいる問題である。それは特別秘密保護法について、そして規約19条に基づく権利の保護との兼ね合いの問題についてである。この問題について思い起こしていただきたいのは一般的意見34番によっていわれているのは、192項は情報にアクセスする権利を擁護するものだとうたわれている。

一般的意見の中で言われているは、情報へのアクセスを拒否する場合は相当な理由が述べられるべきであり、取り決めがなされて拒否された場合の不服申し立てが可能であるべきだ、ということである。193項に関しては制約について述べられている。一般的意見が強調しているのは締約国は非常に慎重に3項に基づいて厳しい要件を満たして初めて国家の安全保障や公的な秘密を保護するべき。こういう法律は具体的に書かれたものであるべき。この新しい法律の翻訳を読む限り、適用がどのくらいの範囲のものであるかということが非常に分かりにくい。法律は何が秘密として指定できるのか、ということがはっきりしない。別表の目的をみる限り、非常に広いように思われる。防衛、外交、テロの防止、そして指定された危険活動、これが何を意味するのかわからないが、そんなことまで述べられている。さらに、特定秘密として分類する基準が明確ではない。これは忌々しきことである。秘密情報を開示した場合の刑として10年までの刑が書かれている。秘密保護法の24条の関連であるがそういう秘密を入手したばあいのこと、それを懸念する。こういう規定はメディアを非常に恐れさすものである。秘密保護法の22条はニュースの報道の自由をうたっているが、この規定に具体的な意味が明白ではない。一般的意見によると、秘密情報を流布したということで、ジャーナリストや環境活動家や人権擁護者を起訴するということは19条と整合性がないと考える。

日本としては、この法律が19条に即した形で適用されるように、どういう風に確保するのか。人が起訴されるということが安全保障と公の秩序の保護のために必要なときのみ、相当な範囲でおこなわれるように、何かセーフガードはあるのか。研究者や環境活動家や人権の擁護者が、刑事上の刑罰に課されないよう、どうやって確保するのか。」


ナイジェル・ロドリー議長

「一つ質問があります。即座に答えていただく必要はありません。特定秘密保護法についてです。どういう風に既存の法律を変えるのか、どういう問題が起きたから特定秘密保護法が必要ということになったのか。いろんな懸念が出ているのだが。」



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by himituho | 2014-07-25 01:11 | お知らせ
2014年 07月 24日

【ニュース】特定秘密基準で意見募集=24日から1カ月―政府

政府は昨日23日、特定秘密保護法の運用基準案と施行令案に関するパブリックコメント(意見募集)を24日から1カ月実施すると発表したようです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140723-00000100-jij-pol 時事通信社

運用基準案等の問題点について、意見を寄せましょう!



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by himituho | 2014-07-24 11:33 | 秘密保護法パブコメ
2014年 07月 20日

【イベント紹介】秘密保護法ミュージカル「The Secret Garden ~嘘の中にある真実~」‏

秘密保護法施行後の近未来を想像するミュージカル「The Secret Garden ~嘘の中にある真実~」ができました。
公演は10月22日~26日までで、7月下旬から前売り券を販売開始とのことです。

ーーー
以下、チラシから一部抜粋。

本作品はミュージカルを通して多くの市民とともに本法律の問題点を考え、法律廃止に向けた運動を応援するために企画されました。
みなさんに楽しんでいただける笑いあり涙あり、エンターテイメントの詰まった作品になっています。

◆ものがたり◆
秘密保護法が作られて数年、萎縮効果があらわれて人々が口をつぐむようになった頃、ついに本法律違反事件で逮捕者が出た。メディアの取材合戦にもかかわらず、検察・警察からは一切事件の内容は明らかにされない。裁判当日、姿を現した被告人はなんと普通の市民が9人! 某原発に勤務する青年と幼馴染、そして町内会の面々だ。無罪を主張する弁護側と、組織的犯行を主張する検察側とが真っ向から対立。彼らはどんな秘密に触れたのかさえ「秘密法」が壁になって明らかにされない。裁判が混迷を深める中、やがてこの事件の本当の姿が明らかに…。


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by himituho | 2014-07-20 14:38 | 関連イベントの紹介
2014年 07月 19日

【7月19日】「秘密保護法と監視社会」学習会のご案内

以下、転載です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんなにあぶない!「秘密保護法」連続学習会パートⅣ

■とき  7月19日(土)13:30~16:30
■ところ 渋谷区勤労福祉会館第一洋室
(渋谷区神南 1-19-8  JR渋谷駅ハチ公口から徒歩8分)
■講師 小倉利丸さん(富山大学教授) 「秘密保護法と監視社会」
    山下幸夫さん(弁護士) 「秘密保護法と共謀・教唆・扇動」
■報告 海渡雄一さん(弁護士)
「自由権規約19条の保障する知る権利と秘密保護法
-第6回政府報告書審査で秘密保護法問題はどのように取り上げられたか」
■資料代 700円
■主 催  「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
■連絡先
新聞労連 03-5842-2201  jnpwu@mxk.mesh.ne.jp
平和フォーラム 03-5289-8222
5・3憲法集会実行委員会(憲法会議 03-3261-9007/許すな!憲法改
悪・市民連絡会 03-3221-4668)
秘密法に反対する学者・研究者連絡会  article21ys@tbp.t-com.ne.jp
秘密法反対ネット(盗聴法に反対する市民連絡会 090-2669-4219/日本
         国民救援会 03-5842-5842)

秘密保護法は、政府・官庁が市民に知られたら都合が悪い情報を
「秘密」に指定して隠すことのできる法律です。戦争は「秘密」
からはじまると言われています。まさに秘密保護法は安倍政権が
強引に進める集団的自衛権行使容認と一体の戦争準備法ともいう
べきものです。違憲の集団的自衛権の行使容認を許してはなりま
せん。
同時に、秘密保護法は監視・管理社会化と一体のものです。政府
・官庁が真実を知ろうとする市民の行動、メディアの取材などを、
日常的に監視し、規制しようとすることは疑いありません。
そのために秘密保護法には「共謀・教唆・扇動」の罪が設けられ
ています。これは真実を知ろうとして話し合うこと(=共謀)、
真実を話すことを語りかけること(=教唆)、呼びかけること(
=扇動)自体を処罰しようとするものです。市民やメディアが、
通話、メールの盗聴、市民の諸情報の共通番号による掌握などで
、監視・管理されるでしょう。
戦争と監視・管理社会化と一体の秘密保護法を廃止しましょう。
第四回学習会は、小倉利丸さん、山下幸夫さんをお迎えし、秘密
保護法と監視社会の関係を考えます。ぜひ、ご参加ください。


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by himituho | 2014-07-19 08:56 | 関連イベントの紹介
2014年 07月 18日

【報告】7.15-16 人権委員会日本政府報告書審査を終えて‏

国連・自由権規約の審査において、秘密保護法の問題を審査してもらうため、
秘密保護法対策弁護団の2名の弁護士がジュネーブに行ってきました。
来週には勧告が出される予定とのことですので、注目して下さい。



以下、弁護団メンバーの海渡雄一弁護士の報告です。
***************************

日本の民主主義と人権の状況を憂えるすべての皆さんへ
秘密保護法の廃止を求めて闘いを続けている皆さんへ

                          海渡 雄一

規約人権委員会 日本政府第6回審査を終えて

                海渡雄一
                (弁護士 日弁連自由権規約WG座長)

はじめに
 2014年7月15日、16日の両日にわたって、自由権規約委員会による第
6回日本政府報告書審査がジュネーブの国連欧州本部パレデナシオンで行われた。
 私は、1998年第4回、2008年第5回に引き続いて3回目の審査立会と
なったが、これまでにもまして、日本の人権状況に照らして白熱した審議となっ
た。
 審査を受けた日本政府に対する勧告=総括所見は7月24日に公表される予定
となっている。
 今回の審査については、日弁連としても市民向けのパンフレット、審査の全貌
を記録した単行本などの作成を計画している。以下に、審査の終了を受けた一参
加者の見聞と感想を記しておきたい(この文章で述べたことは、特に断らない限
り、私の個人の見解であり、日弁連の見解を代表するものではない)。

第1 概観
1 新たにとりあげられたテーマ
 今回の審査では、これまで委員会が継続して取り上げてきたテーマだけでなく
、いくつかの重要なテーマが、あらたに審査で取り上げられた。
 その代表的なものが、多くのNGOが強く取り上げることをもとめた秘密保護
法とヘイトスピーチの問題であった。
 それ以外にも朝鮮高校が無償化の対象から外された問題、ムスリムの人々に対
する包括的な情報収集について、政府が停止せず、謝罪もしていないこと、福島
第1原発の被害者に対して正確な情報が提供されていないことなども取り上げら
れた。

2 国際人権保障システム 議定書と国内人権機関
 他方で、委員会が一貫して取り上げてきた、第1選択議定書の批准、条約の国
内法的効力、国内人権機関の設立など国際人権保障システムについても、フリン
ターマン委員からかなり詳細な質問がなされ、フォローアップもなされた。
 日本政府は、民主党政権の下で、第1選択議定書の批准、国内人権機関の設立
がかなり具体化していたにもかかわらず、安倍政権となってからこのような動き
が止まっていることについて明解な説明ができず、委員会のフラストレーション
を高めたように見受けられた。

3 刑事司法と少数者の差別
 刑事司法、死刑制度、死刑確定者の処遇、難民、入管収容、技能実習生制度な
どの外国人に対する人権問題なども、前回と同様に取り上げられた。
 女性、アイヌ、琉球などのエスニックマイノリティ、LGBT・性的マイノリ
ティに対する差別、慰安婦問題についての政府の責任なども引き続き取り上げら
れた。

第2 袴田事件を契機に大きく取り上げられた代用監獄、取調、死刑制度、死刑
確定者の処遇
1 メインイシューに
 今回の審査の大きな特徴は、袴田事件を題材に代用監獄、取調、死刑制度、死
刑確定者の処遇などが大きなメインイシューになったことである。とれわけ3人
の委員が袴田ケースに具体的に言及して発言したことが大きな特徴であった。

2 代用監獄の廃止の意図はあるのか(マジョディナ委員)、
 1988年から勧告している。代用監獄の廃止について、なぜ、代用監獄制度
の使用が停止されないのか。世界の他の地域では全く許されない制度である。C
ATでも取り上げられている。30年問題が提起されているのに変わらない。予
算の制約があると政府はいわれるが、代用監獄の問題における自白の強制が多く
のケースで発生している。最近では、PC遠隔操作事件で明確に無罪の人が自白
させられた。袴田さんが代用監獄で長期間の取調の結果自白させられた時とどう
変わったのか。長期の取調による自白の強要がなされていることに変わりはない。
日本政府は、勾留施設を増やし、人権違反を防ぐべきではないか。代用監獄を廃
止する意図はあるのか。
勾留の削減はあるのか。

3 死刑制度の廃止を、それまでの間も改善を(ニューマン委員)
アメリカのニューマン委員は死刑制度の死刑確定者の処遇について包括的な質問
を行った。彼も袴田氏が40年以上も拘禁されたことを取り上げた。
 ニューマン氏が取り上げたことは広範にわたるが、
○第2選択議定書を批准し、世界に範を示して欲しい。
○恩赦が1975年以来ないこと。規約の6条のパラ4に反している。恩赦の申
請中の処刑はあるのか。
○19の犯罪のリストに爆発物犯罪は入っているのか。
○死刑囚は長期に独房収容され、死刑執行は数時間前にしか知らされない。家族
にも知らされない。政府は「心の安寧を得るため。」というが、委員会は非人道
的と言ってきた。
○死刑判決を見直すために必ず再審査の機会を与えるべきではないか。
○裁判員制度の下で、全会一致でなくても死刑が可能となっている。再審査が必
要である。
○最高裁判決によって、死刑確定者との面会への弁護士の立会に一部の変化をも
たらしたというが、どのような変化か。
○心神喪失の者の処刑を避けるため、独立の審査がない。
○高齢者の処刑が続いているようだ。
○法務大臣による検討会は、まだ得られていないのか。

4 なぜ、取調に弁護人は立ち会えないのか、より包括的な取調可視化を(シャ
ニイ委員)
イスラエルのシャニイ委員は取調の問題を包括的に取り上げた。


○裁判員対象の3パーセントが対象になると言うNGOの見解は正しいのか。
○パイロットケースでは、どういうものが試行から外されているのか。残りの事
案はなぜしないのか。
○対象事件の選び方はどうなっているのか。
○弁護士はもともとの録画を見ることができるのか。
○身体的な暴力や言葉で脅すようなことはあるのか。
○手錠をしたまま、椅子に縛られて取り調べを受けているというのは本当か。手
錠をするのは一般的なのか。
○弁護士はなぜ立ち会えないのか。
○99パーセント以上が有罪判決というが、このような刑事司法制度は正しいと
見られているのか。
○事前の検察官の選別の判断によって有罪率高いという説明であるが、このよう
な高い有罪率は警告的な情報ではないか。裁判官は検察官の起訴を斥けることを
おそれているのではないか。
○自白に依存することの危険性は学術的な調査によって示されている。プレッシ
ャーがあると25-30パーセントの被疑者が自白を強要されていると言う報告
がなされている。
○袴田ケースでは再審が開始されたという。そのことは、高く評価されるが、そ
のような人が他にもいるのではないか。

5 日本政府が死刑制度を維持する理由を聞きたい(レスキア委員)
アルゼンチンのレスキア委員は、フォローアップ質問の中で、死刑について重ね
て質問した。彼は、ニューマン委員の質問は繰り返さないとしつつ、「国からの
適切な対応がなされてない。死刑廃止に向けて、刑事司法ポリシーが示されてい
ない。日本政府に死刑を維持する理由について聞きたい。対象犯罪に国に対する
犯罪が含められている。19もの罪が上げられている。内乱が含められている。
このような制度に合理性があるのか。」
「刑事司法は市民の気持ちに沿うべきと言うが、政府としての方向が示されるべ
きだ。死刑確定者の心の安静をはかるというが、それは国が決めるものではない。
事前に通知を受けることで死刑確定者が、状況を把握できるようにするべきだ。


6 まとめ 
最後には、ロドリー議長が日弁連の代用監獄と取調に関するレポートの一部を読
み上げ、政府に事実と違う点があれば、具体的に指摘するようにとの質問もあっ
た。
多くの委員は報道を通じて袴田事件の内容を理解していたようだったが、日弁連
が映画BOX袴田事件をジュネーブプレスセンターで上映し、この事件の具体的
な内容とこの事件から浮かび上がる日本の刑事司法システムと死刑制度の問題点
について記載したチラシを配布しながら、多くの委員と対話したことが、このよ
うな成果を生み出したと思う。

第3 秘密保護法について厳しい質問
1 事前の活動
すでにNHKが「国連委員会 特定秘密保護法に意見」として、流している。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140717/k10013071791000.html
7月17日 0時31分
 秘密保護法については、事前のLOIには入っていなかった。したがって、こ
れを審査で取り上げてもらうことには、最初から困難が予想された。
 NGOは、事前によく話し合い、委員会にレポートを提出しているNGOだけ
でなく、他のNGOにも呼びかけ、19団体のジョイントレポートを実現した。
 他に、日弁連、アムネスティもこの問題を取り上げ、ツワネ原則を起草したオ
ープンソサエティ・ジャスティスイニシアティブも、秘密保護法の内容を検討し
た詳細なレポートを作成してくれた。
 公式ブリーフィングでは19のNGOを代表して小川隆太郎弁護士が秘密保護
法の問題点について発言した。このブリーフィングでは、フリンターマン委員か
ら、法律は既に適用されているのかという質問があった。翌日には法は施行前で
あり、適用例はないが、日本では過去に西山記者事件があり、この法律によるジ
ャーナリスト、市民活動家、内部告発者に加えられているリスクは現実のもので
あることを説明するペーパーを19NGOのステートメントとして提出した。

2 フォー委員の包括的質問
 審査の第二日目にドイツのフォー委員が表現の自由について質問する中で、秘
密保護法について取り上げた。

(秘密保護法について質問するフォー委員)
 フォー委員の質問を少し詳しく紹介しよう。
 「表現の自由についての権利制約は、非常に狭いものに限定しなければならな
い。公共の福祉による制約は広くなっている。規約で認められたに限定していく
ことについてそのステップを明らかにして欲しい。これまで、この問題について
の司法審査が限られているようにみえる。
 ここで最近の例をとりあげる。去年のリストオブイシューの採択のあとに生じ
たことで、かなりの懸念を生んでいる秘密保護法に関してである。この問題につ
いて委員会の一般的意見34において、国家の保有する情報へのアクセスを拒否
するときには相当な理由が必要だとされ、不服申立の機会を慎重に締約国は確保
するとされている。安全保障に関する情報も厳しい要件を満たした情報を保護す
べきだ。
 日本政府が法律の全文を翻訳して下さったので、その翻訳を読んだが、この法
律は、翻訳を読んでも理解できない。アネックスの表の目的とされる防衛、外交、
テロの防止、特定有害活動の分類基準が明らかでない。10年の刑は重すぎる。
24条は、メディアに対して萎縮効果をもたらすのではないか。22条がニュー
スの報道の自由にどのような保障をもたらすのかも明らかでない。日本としては、
規約19条に即してセーフガード措置を用意しているのか、人権活動家や環境活
動家が逮捕されないようにどう確保するのか。」

3 日本政府代表団による回答
 これに対して、日本政府代表団(内閣府)は「日本政府は表現の自由を最大限
保障している。情報公開制度は、特定秘密保護法にも適用される。規約19条は、
国の安全、公共の秩序に基づく一定の制約を認めている。秘密保護法は、19条
に反するものではない。
 秘匿性の高い情報をを保護する制度、その指定と解除に関する制度は、米国や
英国で整備されている。秘密の定義や指定の要件は、法的に明確されている。
 附属表については、「賢人会」(情報保全諮問会議)により詳細な基準が審議
されていて、閣議で決められることとなっている。特に秘密性が高い、限定的で
具体的な情報に限って秘密に指定されるのであり、行政機関の恣意的な運用はな
されない。
 法24条により、自己の不正の利益を図る場合にのみ取り締まりの対象となる
とされており、報道目的の取得は処罰されない。このような規制は国民の知る権
利を不当に制限するものではなく、自由権規約19条と整合的である。

4 ロドリー議長による立法事実に関する質問
 このやりとりを受け、委員会の最後のロドリー議長による質問の中でも、「特
定秘密保護法について、懸念が表明されている。この法律はどのように既存の法
律を変えるのか。いま、なぜ、このような法律が必要となったのか説明して欲し
い。」という根本的な立法事実の有無に関する鋭い質問がなされた。
 この点については、日本政府は審査終了後48時間以内に書面で回答すること
ができる。
 このように、日本の市民社会が共同で取り組んだ秘密保護法を国際人権法の視
座から検討してもらうというミッションは成功したようである。どのような具体
的な勧告がなされるかを見守りたい。

第4 ヘイトスピーチ
1 審査でのやりとり
 ヘイトスピーチについて、イスラエルのシャニイ委員が取り上げた。
このようなデモが350件も報告され、広範に起きていることが確認された。そ
して名誉毀損の場合以外は取り締まれないのか、他の刑事的規制はないのか質問
された。このように、ヘイトスピーチについて具体的な防止策がとられていない
ことが大きく取り上げられた。
これに対して、政府代表団は、極めて深刻なヘイトスピーチが起きているにもか
かわらず、政府の答弁は名誉毀損や脅迫にあたる場合に民事責任と刑事責任を問
いうる、啓発活動に取り組んでいるという答弁に終始した。
 このやりとりを通じて、日本に包括的な差別禁止法制がないことの問題点も明
確になった。

2 求められる限定された刑事法的規制
 日本から出席していたNGOはJapan NGO Network 2014 ICCPRとして、ヘイト
スピーチに関して、人種差別撤廃委員会の一般的見解35 para15,16にもとづ
いて、一定の行為の犯罪化を求める勧告を求めた。
 この点について、二日目のフォローアップ質問において、シャニイ委員は表現
の自由の保障は重要であるとしつつ、規約20条がバイオレンスの防止のため、
人種差別の煽動をするヘイトスピーチ抑制しなければならないことを定めている
ことを指摘し、民事法的な措置だけに委ねることは問題であり、民事提訴ができ
ない場合もあり、国が抑制することが望ましいと述べた。
 人種差別撤廃委員会の前記の見解は、法律により処罰されうる流布や扇動の条
件として、委員会は以下の文脈的要素が考慮されるべきであると考える。として、
スピーチの内容と形態、経済的、社会的および政治的風潮(委員会は、ジェノサ
イドに関する指標において、人種主義的ヘイトスピーチの意味および潜在的効果
を評価する際に地域性が関連することを強調した)、発言者の立場または地位、
スピーチの範囲、スピーチの目的を考慮すべきだとしている。
 また、締約国は、扇動罪の重要な要素として上記の考慮事項に加えて、発言者
の意図、そして発言者により望まれまたは意図された行為がそのスピーチにより
生じる差し迫った危険または蓋然性を考慮に入れるべきであるとされている。
 日本の状況は、放置すれば、人種差別的暴力への歯止めが利かなくなる一歩手
前まで来ている。委員会がどのような具体的な勧告を行うか、ここでも大いに注
目される。

第5 慰安婦問題をめぐる委員会内外のできごと
1 異常な事態
 今回のセッションには、慰安婦は強制連行されておらず、売春婦だったと主張
している日米の団体の人たち約10人が来て、NGOのブリーフィングに入れる
かどうかでもめたり、セッションで慰安婦が性奴隷ではないとした政府代表発言
に一斉に拍手したり、慰安婦問題について発言したマジョディナ委員をセッショ
ンの終了後に取り囲んでつるし上げたりという事件が起きた。

2 委員会でのやりとり
 委員会では、マジョディナ委員が慰安婦問題を取り上げた。河野談話の検証に
ついても質問がなされた。
 これに対する政府の回答は、これまでの経緯をふまえ、日本政府としては強制
連行の事実は確認できないが、当時植民地統治下にあり、「甘言、強圧による等、
総じて本人たちの意思に反して」なされたと述べた。そして、今後も河野談話を
継承すると述べたが、アジア女性基金を超える慰藉措置は示されず、慰安婦を
「性奴隷」と呼ぶことは相応しくないとも述べた。
これに対して、マジョディナ委員は最後のフォローアップ発言の中で、性奴隷制
という発言は1926年の奴隷廃止条約の定義に基づくと発言したのに対し、政
府代表はさらに、「奴隷制度の定義について、条約上の検討をした上で、この制
度は性奴隷制の問題ではない。その定義に当てはまるものとは理解していない。
性奴隷制度は不適切な表現である」と強く反論した。
 この時に、慰安婦の存在を否定するグループの人たちが一斉に拍手をしたので
ある。 これに対して、ロドリー議長はこのような行為(慰安婦を性奴隷ではな
いとする発言に拍手する)ことは、許されない行為であると言明した。

3 まとめ
 今回のセッションでは、慰安婦とヘイトスピーチ、秘密保護法が大きく取り上
げられたが、このような慰安婦否定派の人たちが審査に来たことにより、日本の
民主主義と人権状況の悪化が委員の皆さんにも肌身で感じられたのではないかと
思う。それが勧告にどのように反映されるかも興味深い注目点である。

第6 福島原発事故後の知る権利も議題に
1 委員の質問
スイスのケリン委員は、委員の一巡目の最後の質問で福島原発後の状況に懸念が
あるとし、特別報告者(アナンダ・グローバー氏)も提起しているとして、国際
基準(年間1ミリシーベルト)の20倍の線量地域に帰還政策がとられているこ
と、福島における災害関連死亡(1704人)の中に健康被害の者が含まれてい
るのか、帰還した者に月次の補償がなされるのか、避難している人々にどの程度
の情報が提供されているのか。情報へのアクセスに問題はないのかなどの質問が
なされた。

2 政府の回答
これに対して、政府代表団は、福島の放射線影響については、わかりやすくリス
クコミュニケーションをしている。科学的知見をまとめた基礎的な情報のパンフ
レットを作成し、 責任を持って長期的リスクについて、正しい情報を住民と労
働者に提供していると説明した。

第7 審査を総括したロドリー議長総括発言
1 感動的だった総括発言
審査の最後にロドリー議長が次のように発言した。これは、委員会全体の偽りの
ない日本政府に対する気持ちを表していると考えられる。


(総括発言を述べたロドリー議長)
********************************
二つの問題が指摘された。
代表団が察知されているように、繰り返しのプロセスがあるということである。
政府り説明には、繰り返しが多い。このようなプロセスは資源の有効活用といえ
ない。
人権の尊重がリソース次第という状況は日本のような先進国ではあってはならな
いことである。
代用監獄の制度を取り上げる。代用監獄は暫定的なものとして、1908年に当
時「資源がない」という理由で、捜査の対象となる被疑者を警察に拘禁してきた。
これに加えて、今回政府は「家族や弁護士に利便だ」という説明を付け加えられ
た。便宜だというが、全く反する意見を持っている団体もある。このような説明
は無意味に聞こえる。こういう制度が維持されている理由は、起訴側が自白を求
めたいと考えているためであるとしか考えられない。このような状況は明らかに
規約に矛盾している。
可視化については、改善が進むでしょう。でも、もっと多くの人と金を投入する
べきである。取調に弁護士の立会は認められていない。
日本政府は、委員会がこれまでよりも強い形で勧告を出しても驚かれることはな
いでしょう。日本政府は明らかに国際コミュニティに抵抗しているようにみえま
す。
もうひとつの繰り返しは慰安婦の問題です。意見の対立があるようである。私に
は理解ができない。頭が悪いのだろうか。「強制連行されたのではない。」とい
いつつ、「意図に反した」という認識が示されている。これは、理解しにくい。
性奴隷である疑念があるなら、意図に反して行われたのなら、河野談話でも謝罪
がなされたとしても、日本政府はなぜこの問題を国際的な審査によって明確化し
ないのか。政府のこのような言葉を受け容れるしかないのか。
 政府には48時間以内に反論できる機会がある。
 このセッションでなされた拍手は適切なものではない。とりわけ人権侵害の被
害者を辱めるような拍手は適切でない。
日本はこの委員会にとって重要な国である。自由を認めているである。この場に
市民社会はたくさん参加している。でも、人権にマイナスな影響を与えるような
深刻な問題がないわけではない。次のラウンドでは、こういうことが続かないよ
うにしたい。
 ぜひ、日本政府から、追加情報を頂きたい。最終見解を出し、フォローアップ
をしていきたい。
   *********************************

2 総括所見の実現は私たちの責務
総括所見について、期待が持てる審査であった。
いろいろな事件があり、また、リストオブイシューになかった問題で取り上げら
れた問題があった一方で、日の丸君が代問題のように、リストオブイシューに入っ
ていながら、誰も質問しないでイシューから落ちてしまった問題もある。このよ
うに、明暗はあったが、最後のナイジェル議長の発言を聞く限り、委員会はかな
り踏み込んだ勧告をしてくるにちがいない。この勧告を受け止め、日本国内にひ
ろげ、政府と真剣に対話し、日本を包む人権と民主主義の危機を克服したいと思
う。

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by himituho | 2014-07-18 10:00 | 報告
2014年 07月 16日

【7月17日】7・17 隠すな!情報保全諮問会議~「秘密保護法」廃止へ!官邸前緊急行動

以下、転載です。

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の強行によって、「戦争が秘密か
らはじまる」ことのリアリティがますます増しています。12月12日の「秘
密保護法」施行期限に向けて、政府の動きが加速しています。官邸で行わ
れる秘密会議に大きなNO!の声をぶつけましょう!

-------------------------------------

7・17 隠すな!情報保全諮問会議~「秘密保護法」廃止へ!
   官邸前緊急行動
とき:7月17日(木)午前9時30分~11時
ところ:首相官邸前(国会議事堂前駅)
主催:「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
    http://www.himituho.com/

 この日、午前10時から首相官邸で、安倍首相も出席して第2回の「情報
保全諮問会議」が開かれます。1月17日の第1回から半年もたっています。
この間、政府・内閣情報調査室は、会議を開くとメンバーから批判的な意
見が出ることをおそれ、メンバーに個別に対応し、会議を開きませんでし
た。情報を市民に対して秘密にし、世論からの批判をまぬかれようとする
安倍政権の姑息なやり口です。

 安倍政権は第2回会議で「素案」を示し、「特定秘密に指定する際の要
件や手続き、有効期間の設定のほか、特定秘密を取り扱う人物を選定する
ための適性評価の実施態勢や手法」についての同意をとりつけ、1ヶ月間
のパブリックコメントを経たうえで、秘密法の12月施行に向けて踏み出そ
うとしています。

 秘密保護法の施行をめぐる動きが本格化しようとしています。7月17日、
「隠すな!情報諮問会議~秘密保護法廃止へ!官邸前緊急行動」にぜひご
参加ください。

-------------------------------------

【記事】
秘密法を追う 保全諮問会議 隠れみのの実態映す(7月10日、信濃毎日)
http://www.shinmai.co.jp/news/20140710/KT140709ETI090003000.php

特定秘密の監視機関に「権限」付与(7月12日、NHK、動画あり)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140712/k10015955361000.html

【参考】
17日の第2回「情報保全諮問会議」で政令・運用基準の「素案」提示へ
http://bit.ly/W6QddX

【関連】
学習会「秘密保護法にどう立ち向かうか」(横浜)
7月16日(水)18:30~
開港記念会館1階1号室(日本大通り駅、関内駅)
講師:清水勉弁護士(「情報保全諮問会議」委員)
主催:かながわ市民オンブズマン
http://homepage2.nifty.com/kana-ombuds/kouhou/2014/116_4.pdf
※翌17日の「情報保全諮問会議」の前夜に清水弁護士は何を語るか。

[新潟]「議員への罰則が嫌なら、秘密保護法は廃止せよ!」
~情報保全諮問会議メンバーが語る秘密保護法の裏側
(6月16日、IWJ)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/146966


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by himituho | 2014-07-16 13:49 | 関連イベントの紹介
2014年 07月 14日

【お知らせ】フランク・ラ・ルー氏のビデオ・メッセージ

国連人権理事会の表現の自由の特別報告者であるフランク・ラ・ルー氏から、日本の秘密保護法廃止運動をしている市民へのビデオ・メッセージが、以下のYouTubeにて視聴できますので、ぜひご覧ください。

日本語 字幕、活字つき

http://www.youtube.com/watch?v=w_UW4ogFJvA

英語版 活字つき
http://www.youtube.com/watch?v=u98GVKobxWc



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by himituho | 2014-07-14 14:05 | お知らせ


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