2015年 07月 16日
【報告】日本政府・政権与党の報道介入に反対する国連ステートメント提出 |
弁護団は、ステートメント「日本:メディア・ジャーナリストに対する日本政府・与党の過度な干渉」を認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウと一緒に作成し、同書面は今年6月に開催された第29回国連人権理事会に提出されました。
ステートメントはこちら↓
http://hrn.or.jp/activity/29th HRC Japan Government interference with the media and journalists.pdf
弁護団は、このステートメントにおいて特定秘密保護法のパートを担当し、特に内部通報者やメディア・ジャーナリスト保護の観点から、特定秘密保護法には重大な欠陥があるということを国連人権理事会に対し訴えました。
この「日本政府・政権与党の報道介入」という問題は今、非常に深刻です。
今年4月の自民党によるテレビ朝日とNHKの事情聴取に加え、6月には自民党勉強会では出席議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」などとの声が上がり、講師の百田尚樹氏からは「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」との発言さえ飛び出し、政権与党の報道に対する積極的な介入姿勢が露わになっています。
政治家による報道内容に対する抗議は従来から存在したそうです。ただし、これまでは秘書が電話で行ったり、担当記者に会ったときに直接文句を言うといったように、「密かに」行われていました。もちろん、「密かに」行えば良いというわけでは全く無いのですが、現在の自民党の報道介入の特徴は、周囲の目をはばからず、悪い意味で「正々堂々」と行われているという点です。
先日開催されたHRN主催の「政府・与党による言論の自由への介入を許さないトークイベント」(http://hrn.or.jp/activity/event/711/)に参加してきましたが、そこではこのように政権与党が「正々堂々」と報道介入をやってしまう、出来てしまう背景として、テレビや新聞などのマスコミに対する国民の信頼が無くなってきているということがあるのではないかと指摘されていました。
たしかに、これだけの報道の自由の危機に対して、正面から自民党を批判する声は大きくないのではないでしょうか。そうした社会の曖昧な雰囲気が政権与党の報道への積極介入の姿勢を助長しているように思います。つまり、報道介入が強まる→報道内容が硬直化する→国民からの信頼が失われる→報道介入が強まるという悪循環に陥っているということです。ここでは、まず原則に立ち返って、日本政府・政権与党による報道へのあらゆる介入・圧力は、憲法21条、自由権規約19条に照らして決して許されないという態度を明確にすることから悪循環を断ち切るべきです。
報道介入によって一番の損をしているのは、マスコミではなく、情報の受け手である私たち主権者たる国民です。私たちは、この問題について自分事として怒っていいんです。そのことにピンと来ない人が多いのかも知れません。
報道介入の問題は、特定秘密保護法にも通じます。
今は放送法を手段とした報道介入が行われていますが、いつ特定秘密保護法を使った報道(取材)介入が行われるか分かりません。
特定秘密保護法からジャーナリストや内部通報者をなぜ保護しなければならないのか。それは究極的には、主権者である私たち国民ひとりひとりが、ジャーナリストや内部通報者から適切な情報を得て、権力を監視し、時の政治について正確に判断できるようにするためです。
この最終ゴールのイメージをどうやって自分自身が実践し、そして社会に対して分かりやすく伝えていくか、しっかりと考え行動していきたいと思います。
そういえば、国連へのステートメント提出の際に必要だということで、弁護団の英語名称を決めました。The League of Lawyers Against the State Secret Act (LLASSA)です。最近注目されている某学生団体みたいでカッコイイでしょう?(笑)
(弁護士・小川隆太郎)
ステートメントはこちら↓
http://hrn.or.jp/activity/29th HRC Japan Government interference with the media and journalists.pdf
弁護団は、このステートメントにおいて特定秘密保護法のパートを担当し、特に内部通報者やメディア・ジャーナリスト保護の観点から、特定秘密保護法には重大な欠陥があるということを国連人権理事会に対し訴えました。
この「日本政府・政権与党の報道介入」という問題は今、非常に深刻です。
今年4月の自民党によるテレビ朝日とNHKの事情聴取に加え、6月には自民党勉強会では出席議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」などとの声が上がり、講師の百田尚樹氏からは「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」との発言さえ飛び出し、政権与党の報道に対する積極的な介入姿勢が露わになっています。
政治家による報道内容に対する抗議は従来から存在したそうです。ただし、これまでは秘書が電話で行ったり、担当記者に会ったときに直接文句を言うといったように、「密かに」行われていました。もちろん、「密かに」行えば良いというわけでは全く無いのですが、現在の自民党の報道介入の特徴は、周囲の目をはばからず、悪い意味で「正々堂々」と行われているという点です。
先日開催されたHRN主催の「政府・与党による言論の自由への介入を許さないトークイベント」(http://hrn.or.jp/activity/event/711/)に参加してきましたが、そこではこのように政権与党が「正々堂々」と報道介入をやってしまう、出来てしまう背景として、テレビや新聞などのマスコミに対する国民の信頼が無くなってきているということがあるのではないかと指摘されていました。
たしかに、これだけの報道の自由の危機に対して、正面から自民党を批判する声は大きくないのではないでしょうか。そうした社会の曖昧な雰囲気が政権与党の報道への積極介入の姿勢を助長しているように思います。つまり、報道介入が強まる→報道内容が硬直化する→国民からの信頼が失われる→報道介入が強まるという悪循環に陥っているということです。ここでは、まず原則に立ち返って、日本政府・政権与党による報道へのあらゆる介入・圧力は、憲法21条、自由権規約19条に照らして決して許されないという態度を明確にすることから悪循環を断ち切るべきです。
報道介入によって一番の損をしているのは、マスコミではなく、情報の受け手である私たち主権者たる国民です。私たちは、この問題について自分事として怒っていいんです。そのことにピンと来ない人が多いのかも知れません。
報道介入の問題は、特定秘密保護法にも通じます。
今は放送法を手段とした報道介入が行われていますが、いつ特定秘密保護法を使った報道(取材)介入が行われるか分かりません。
特定秘密保護法からジャーナリストや内部通報者をなぜ保護しなければならないのか。それは究極的には、主権者である私たち国民ひとりひとりが、ジャーナリストや内部通報者から適切な情報を得て、権力を監視し、時の政治について正確に判断できるようにするためです。
この最終ゴールのイメージをどうやって自分自身が実践し、そして社会に対して分かりやすく伝えていくか、しっかりと考え行動していきたいと思います。
そういえば、国連へのステートメント提出の際に必要だということで、弁護団の英語名称を決めました。The League of Lawyers Against the State Secret Act (LLASSA)です。最近注目されている某学生団体みたいでカッコイイでしょう?(笑)
(弁護士・小川隆太郎)
by himituho
| 2015-07-16 21:34
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