2020年 12月 24日
【意見書】監視社会の進展を加速化するデジタル庁創設計画への疑問を提起し、プライバシー保護のための独立監視機関の設立を求める |
2020年12月21日
意見書
-監視社会の進展を加速化するデジタル庁創設計画への疑問を提起し、プライバシー保護のための独立監視機関の設立を求める-
共謀罪対策弁護団
秘密保護法対策弁護団
意見の趣旨
1 現在政府が来年の通常国会に提出を準備しているデジタル庁関連一括法案は、我が国における個人情報・プライバシー保護のシステムを根本的に改変するものとなる可能性がある。デジタル・ガバメント実行計画や法案準備作業に係る文書は、内閣府のHPに公開されているが、政府は、市民の人権保障に対して重大な影響を及ぼす法律案について、その法案の骨子・要綱、ディスカッションするべきポイントなどをまとめて、早期に市民と国会議員のために議論の素材を提供するべきである。
2 日本には、公権力によるプライバシー侵害については、これを規制する機関が存在しない。監視社会による市民の自由の危機を防ぐためには、日本でも、GDPRにならって、巨大IT企業の情報の収集、保管、利用等についてのみならず、公的機関によるプライバシー侵害も含めて、政府から独立した機関によって厳格な規制を行うことを義務づけることがデジタル庁を設置するよりも先決である。
3 とりわけ、危惧されるのは、政府文書において個人情報の第三者提供について、「データ共同利用権」が提唱されていることである。「データ共同利用権」については、デジタル庁に関する検討文書において、「データ主体(本人)の同意やプラットフォーム事業者や公的機関等のデータホルダーによる許諾だけに基づくものではなく、データ取得方法、データの管理主体、データの利用目的等に鑑みて相当な公益性がある場合に、データ利用を認めるものとすること。」と示されている。GDPR(EUデータ保護規則)においても、個人の同意を必要とする個人情報保護原則の取り扱いが核とされている。これが軟化される危険性があり、また、マイナンバーカードに、運転免許証と保険証をはじめとして多くのカード機能が付加され、またマイナンバーカードをスマホに搭載することも検討されている。多くの情報が突合・検索されて、個人のプライバシーがデジタル庁に統合・集中される可能性がある。
4 デジタル庁は、「首相直轄の組織」として内閣府に置かれるが、内閣官房におかれた内閣情報調査室という情報機関と緊密な関係を持つことが予想され、デジタル庁が集約した情報は、内閣情報調査室を介して警察庁・各都道府県警察と共有される可能性が否定できない。すくなくとも、このことを抑止するシステムが必要であるが、このような提案は法案の説明資料にはない。
5 すくなくとも、情報の不適切な収集と共有を未然に防止するとともに、情報が適切に利用されていることを監視することができるためのシステムが必要である。日弁連などは、これまでも、情報機関 の活動、特定秘密指定などについて、政府から独立した監視機関を設立する必要があることを提唱してきた。デジタル庁を設立するのだとすれば、すくなくとも、同時にこのような機関を、作るべきである。
6 特定秘密、情報機関の集めた情報、デジタル庁に集約された情報等の中身まで見て、是正勧告できる機関が必要である。
特定秘密保護法に関連して設立された政府・国会の機関は十分機能しているとはいえない。独立公文書監理監は、秘密を指定する機関からの出向者の集まりで、この機関の活動によって政府の不適切な秘密指定が改善された例はほとんど見られない。全く独立性が欠けている。これに対して、衆院・参院に設けられた情報監視審査会は一定の独立性があるし、委員は熱心に活動している。しかし、同審査会で多数を占める与党委員が反対すれば、秘密の提示を求めることもできない仕組みとなっており、限界がある。
そのため、特定秘密、情報機関の集めた情報、デジタル庁に集約された情報等の中身まで見て、是正勧告できる機関が、我が国においても必要である。アメリカ、ドイツやオランダには、国が秘密指定している情報や情報機関の集めた情報を見て、不適切な情報が秘密指定されていればこれを公開させ、あるいは、誤った個人情報が収集されていればこれを訂正させる権限を持ったさまざまな国家機関が活動している。
また、特定秘密を取り扱う公務員などの適性評価のために収集された機微情報の管理について、適切に行われる体制が作られているかどうか(特定秘密保護法16条参照)またこれらが適切に運営されているかどうかを検証できる仕組みが必要である。
国の国家秘密に関する活動を適切に監視し、市民に対する違法なプライバシー侵害を未然に防ぐためには、政府から独立し、情報公開と個人情報保護のための強い熱意と専門性を備えた委員から構成される独立監視機関が必要である。
そして、これらの委員には、人権NGOのメンバー、弁護士、秘密と情報に関する研究者などが任命されることが望ましい。デジタル庁を創設するのであれば、その創設と同時にこのような機関を設立することは絶対不可欠である。
以上
(なお、意見の理由も含めた全文は、こちらです。)
by himituho
| 2020-12-24 10:52
| 弁護団の声明など


